タチアオイ

タチアオイ(アオイ科)[立葵]

アオイの仲間で茎がまっすぐに立つことからこの名がある。茎の下から上に向かって咲き進み、一番上まで咲くと梅雨が明けるといわれることからツユアオイともよばれる。その他ハナアオイとよばれることがあるが、別種のハナアオイ(Malva trimestris)と混同するおそれがあるので注意が必要。古名・地方名としてカラアオイなどがある。英名はhollyhock(ホリホック・ホリーホック)。以前はビロードアオイ属(Althaea)であったが、現在はタチアオイ属(Alcea)に変更されている。静岡市と会津若松市では市の花に指定している。

小アジア原産とされ、古い時代に薬用植物として中国経由で渡来し、庭などで観賞用に栽培される越年草で、全体に毛があり、茎は高さ2-3mになり、白色の開出毛が生える。ときに逸出して道端や空き地などで野生化することがあるが、問題になるほど殖えることはない。基本的に春に種を蒔くと翌年の初夏に花が咲く越年草であるが、改良種で春に種を蒔くとその年の夏に花が咲く、1年草の性質をもつものがある。
葉は長い柄があって互生し、直径6-15cmの心形で掌状に5-7浅裂し、裂片の先はとがり縁に鋸歯がある。両面に星状毛が生える。托葉は長さ約8mmの卵形で先は3裂する。
葉腋に直径7-10cmの5弁花を1-2個ずつつける。古くから改良が進み、花の色は淡紅色、白色、黄色などさまざま。八重咲きや万重咲きなどもある。萼片と花弁は5個。雄性先熟で多数の雄しべが5角形の雄蘂筒をつくって花柱を囲む。柱頭は糸状。
果実は円盤形の分離果。約40個の分果が輪状に並び、裂開しない。1個の分果に1個の種子を入れる。

ヨーロッパでも古くから薬用とされ、根の粉末を葡萄酒に混ぜて、流産を防いだり駆虫に用いた。胃潰瘍や鎮静薬、利尿薬としても用いられる。
タチアオイと花が似ているフヨウムクゲは、草本ではなく落葉低木。フヨウは花の直径10-14cmと大きく、7-10月に咲き、葉は長さ10-20cmで3-7浅裂する。ムクゲは花の直径は5-10cmで8-9月に咲き、葉は卵形~広卵形でしばしば3裂する。
花期:6-8月
分布:帰化(園芸)植物
撮影:2023.6.1 横浜市緑区
タチアオイ-2
葉腋に1-2個の花がつく。 2023.6.1 横浜市緑区

タチアオイ-3
2023.6.1 横浜市緑区

タチアオイの茎
茎や花柄に開出毛がある。托葉の先は3裂する。 2023.6.1 横浜市緑区

タチアオイの葉
葉は長い柄があり、円心形で縁に鋸歯がある。 2023.6.1 横浜市緑区

タチアオイに戻る ムクゲに戻る シラネアオイに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。