フヨウ

フヨウ(アオイ科)[芙蓉]

名は、漢名の「木芙蓉」の音読みを略したもの。別名キハチスという。
中国中部原産と推定され、九州南部や四国南部、沖縄、紀伊半島、南伊豆などの暖地では自生状態にある。生態系被害防止外来種。
庭木や公園樹、街路樹などとしてよく植栽されているが、寒地では冬に地上部が枯れる。茎の皮は強靱なので製紙材料とされたほか、漁網や篭、下駄の鼻緒にも使われた。

暖地の日当たりのよい沿海地で野生状態にある落葉低木で、直立または株元で分枝して高さ1-3mになる。樹皮は滑らかで白色を帯び、全体に灰白色の星状毛が密生する。若枝は星状毛と腺毛が生える。
葉は互生し、直径10-20cmで5角状円心形で掌状に浅く3-7裂し、縁に鈍鋸歯があり、基部は心形。葉の両面に星状毛が生え、腺毛が混じってやや粘る。葉柄は長さ5-20cm。托葉は長さ約1cmの線形で落ちる。
枝の上部の葉腋に淡紅色または白色の花を開く。花は直径10-14cmの大輪で、10-13cmの柄があり、朝開いて夕方にしぼむ一日花。副萼(小苞)は10個、長さ1.5-2cmの線形で先が鋭くとがる。萼は5中裂し、裂片は卵状3角形でとがり、副萼(小苞)とともに外面に星状毛と腺毛が生える。花弁は5個、長さ4-5cmの倒卵形で縦に脈が走る。雄しべは多数が合着して筒状になり、その中心を雌しべが突き出る。雌しべは1個で花柱は先が5裂し、柱頭は頭状。
果実は直径2.5-3cmの球形の蒴果で、開出する長毛が生え、星状毛と腺毛が混じる。10-12月に熟して胞背で5裂する。種子は長さ2-2.5mmの腎形で背面に淡褐色の長毛がある。

フヨウの園芸品種で、咲き始めは白で午後から淡紅色を帯びるものをスイフヨウという。翌日はしぼんで紅色になる。
ムクゲは花の直径は5-10cmで8-9月に咲き、葉は卵形~広卵形でしばしば3裂する。ブッソウゲ(ハイビスカス)は暖地で栽培され、花色はさまざま。花柱と筒状の雄しべが長く花外に突き出る。タチアオイは草本で花は直径7-10cm。果実は分離果。
花期:7-10月(沖縄では春と秋の2回咲く)
分布:帰化植物?
撮影:2023.10.12 神奈川県三浦市
フヨウの花
副萼(小苞)は線形。2023.9.7 横浜市南区

フヨウの花-2
多数の雄しべが筒状となり、中心から花柱が伸び、柱頭は3裂する。 2023.10.12 神奈川県三浦市

フヨウの葉
葉は5裂、ときに3裂、7裂する。裂片の先は鋭くとがる。 2023.9.7 横浜市南区

フヨウの果実
蒴果の表面には長毛が生え、星状毛と腺毛が混じる。 2023.10.18 横浜市南区

フヨウの果実-2
蒴果は熟すと5裂して、毛のある種子が現れる。 2023.9.7 横浜市南区

ムクゲに戻る タチアオイに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。