ホオズキ

ホオズキ(ナス科)[酸漿・鬼灯]

名の由来で最も流布している説は、遊びで果実の中身を出して空になった果皮を口の中に入れて舌で突いて鳴らすとき、実が頬に当たるので「頬突き」というもの。牧野富太郎は茎にホホというカメムシ類がつくためといい、ほかに赤い実を火に見立て火付き(ほつき)ということから、人の頬に似ているからなど諸説あるが定説はない。鬼灯の表記は、大きく膨らんだ萼を提灯に、赤く熟した実を鬼に見立てたものという。

アジア原産(自生地ははっきりしていない)で古い時代に渡来したと考えられている多年草で、ふつう庭先で栽培され、ときに民家近くのやや湿った草地や川の土手などに野生化している。茎はふつう枝を分けず、節ごとにやや曲がりながら直立して高さ40-80cmになる。地中の白い根茎が横に長く伸びて殖える。茎や葉はほぼ無毛。
葉は長さ3-4cmの細い柄があって互生するが、しばしば節に2個ずつ葉がついて対生状、ときに3個が輪生状につくこともある。葉身は長さ5-12cm、幅3-9cmの卵状楕円形で縁に上に曲がった短毛があって少数の大きな粗い鋸歯があり、先は短くとがる。
葉腋から長い花柄を出し、淡黄白色の花を下向きに1個つける。萼は長さ5-6mmの杯形で先は浅く5裂し、裂片は狭3角形。花冠は全体に白毛が多く、直径約1.5-2cmの杯形で中心部は緑色を帯び、先は浅く5裂して平開する。雄しべは5個で離生する。花糸は葯の背面下部につく。葯は縦に裂ける。花柱は糸状で柱頭は浅く2裂する。花冠が落ちると萼は大きく膨れて基部から赤く色づいて長さ4-6cmになり5稜があり、袋状に果実を包む。秋には萼は次第に脈だけになって透け、中の果実が見えるようになる。
果実は直径1-1.5cmの球形の液果で橙赤色に熟す。種子は扁円形で網目模様がある。

根を乾燥したものを酸漿根(さんしょうこん)といい、鎮咳や利尿、解熱に用いる。かつては堕胎にも用いたという。盆花に使われ、また果実を顔に見立てて人形を作るなど日本では昔から庶民に親しまれてきた。浅草のほおずき市は浅草寺の縁日に開かれ、その日に参詣すれば四万六千日の功徳があるとされている。
セイヨウホオズキは萼裂片が披針形で花冠裂片は鋭頭、全体に毛が多く、食用とされる。
花期:5-9月
分布:本・四・九
撮影:2019.5.31 神奈川県藤沢市
ホオズキの花
花は下向きに咲く。花冠はほぼ5角形。 2022.6.2 横浜市戸塚区

ホオズキの葉
葉は大きく粗い鋸歯がある。 2022.6.2 横浜市戸塚区

ホオズキの若い果実
若い果実。 2019.7.8 横浜市戸塚区

ホオズキの果実
萼は膨らんで橙赤色になって果実をゆるく包む。 2019.7.26 横浜市戸塚区

ホオズキの果実-2
秋には萼が脈を残して透ける。 2019.9.26 横浜市戸塚区

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