クロマツ

クロマツ(マツ科)[黒松]

ふつうマツといえばこのクロマツとアカマツのことをいい、クロマツの名は樹皮が黒っぽいことからついたもの。雌松(メマツ=アカマツ)に比べて荒々しい感じがすることから、別名オマツ(雄松)という。
群馬県と島根県では県の木に指定。日本最大のクロマツ林である秋田県能代市の風の松原をはじめ、静岡市清水区の三保松原、京都府宮津市の天橋立など、各地の海岸で風景林として親しまれている。なお、北海道で見られるものは本州からの移植とされる。

裸子植物で日当たりのよい海岸の砂浜や岩場を中心に広く自生する雌雄同株の常緑高木。幹はやや曲がり、高さ30m、直径1.5mになるが、大きなものは高さ40m、直径2mを超える。乾燥と湿気に強く、耐潮性も強いので、防風・防潮林、庭園樹、盆栽などととして広く植えられている。
樹皮は灰黒褐色で厚く、幼木では浅く裂けるが、老木になると深い亀甲状に裂け目ができ、やや厚い不規則な鱗片となって剥がれ落ち、その痕は赤みを帯びる。枝は車輪状に分枝する。冬芽の鱗片は長く、灰白色で先は反り返らない。
葉は短枝に2個ずつ束生し、長さ10-15cmの先のとがった針状で硬くて触ると痛く、基部は褐色の鞘に被われている。濃緑色で光沢はあまりなく、横断面は半円形で幅1.5-2mm。3年ほどで落葉する。
雄花は本年枝の基部に多数つき、雌花は先端に1-3個つく。雄花は長さ1.5-2cmの長楕円状円柱形で基部に褐色の苞があり、その先に多数の雄しべがらせん状に密生する。雄しべは黄色で2個の葯室があり、大量の花粉を出す。雌花は紫紅色でほぼ球形。
果実は球果(松ぼっくり)で、その年は長さ1cmほどの小さな球果のままで越冬し、翌春に受精を済ませて次第に大きくなり、10-11月頃に熟す。球果は下向きにつき、長さ4-6cm、幅3-3.5cmの卵形~卵状円錐形で淡褐色、笠が開いて種子を出す。種子は長さ5-6mmの倒卵形で種子の長さの3倍ほどの翼があり、風で運ばれる。

材は粘り強いので建築の構造材などに利用する。
アカマツとの自然雑種をアイグロマツという。アカマツは樹皮が赤褐色。冬芽の鱗片は赤褐色で反り返る。葉はクロマツより短く、7-12cmで軟らかく、触っても痛くない。
花期:4-5月
分布:本・四・九
撮影:2003.1.19 青森県八戸市
クロマツ-2
本年枝の基部に雄花が、先に雌花がつく。 2017.4.25 神奈川県横須賀市

クロマツの雄花
雄花。 2017.4.25 神奈川県横須賀市

クロマツの雌花
雌花は紫紅色。 2017.4.25 神奈川県横須賀市

クロマツの球果
球果。 2003.1.19 青森県八戸市

クロマツの樹皮
老木の樹皮は深い亀甲状に割れる。 2003.1.19 青森県八戸市

オオウメガサソウに戻る エゾスズランに戻る クゲヌマランに戻る ハマニガナに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。