カヤ

カヤ(イチイ科)[榧]

名は古名の「カヘ」の転という。また、葉を燃やしてカヤリ(蚊遣り)に用いたからとも。別名ホンガヤという。
生長が遅いので庭木として植栽される。果実は食用のほか、かつて種子から油を採り、食用や灯火用、理髪用に利用した。種子は榧実(ひじつ)といって寄生虫の駆除にも用いる。材は緻密で腐りにくいので、風呂桶や床柱、造船材として用いられ、最高級の碁盤や将棋盤とされている。

丘陵地~山地の林内に生える雌雄異株の常緑高木で、幹は直立し、高さ25m、直径2m、大きいものは高さ35m、直径2.5mになる。
樹皮は淡灰褐色でやや平滑。老木になると縦に浅く裂け、薄く剥がれ落ちる。若枝は緑色で無毛、3年目に赤褐色となる。横枝は水平に出る。
葉はらせん状に互生し、側枝では左右2列に並ぶ。葉身は硬い革質で長さ2-2.5cm、幅3mmの線形で扁平、基部は円く1mmの柄となり先は針状に鋭くとがり、さわると痛い。表面は濃緑色で光沢があり中脈は目立たず、裏面は淡緑色で白色の幅が狭い気孔帯が2本通る。維管束の下に樹脂道が1本通り、葉をちぎると芳香がある。
雄花は前年枝の葉腋に1個ずつつき、長さ約1cmの黄色い楕円形で葉の下面に並ぶようにつく。基部に鱗片状の苞がつく。雄しべは4輪生して多数。雌花は緑色で本年枝の下部の葉腋に2個ずつつく。
2個ずつついた雌花のうち1個が翌年の9-10月に熟す。果実は長さ2-3cmの楕円形で無柄、肥厚した仮種皮が種子を包み込み、熟すと緑色のまま落ちる。仮種皮は乾いた繊維質で種子はアーモンドに似て両端がとがった楕円形で淡褐色。

日本海側の多雪地などに分布するチャボガヤは、根元が地をはい、樹高は1-2mにしかならない低木。イヌガヤは低木で、葉を握っても痛いと思うほど硬くない。気孔帯はカヤより幅が広い。種子はその年の秋に熟し、仮種皮はない。
花期:4-5月
分布:本(岩手・山形県以南)・四・九
撮影:2019.7.5 川崎市宮前区
カヤの雄花
雄花は前年枝の葉腋に1個ずつつく。長さ約1cm。 2023.4.25 横浜市栄区

カヤの葉
葉の表面は深緑色で光沢があり、中肋は不明瞭。先端は針状でさわると痛い。 2022.4.13 川崎市宮前区

カヤの葉-2
葉裏の2本の気孔帯の幅はイヌガヤより狭い。 2020.7.16 神奈川県茅ヶ崎市

カヤの果実
種子は肥厚した仮種皮に包まれ、落ちる。 2019.7.24 神奈川県茅ヶ崎市

カヤの種子
種子はアーモンドに似た形。 2020.10.5 神奈川県茅ヶ崎市

カヤの樹皮
樹皮は淡灰褐色で縦に浅く裂け、薄く剥がれ落ちる。 2020.7.16 神奈川県茅ヶ崎市

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