タカサブロウ

タカサブロウ(キク科)[高三郎]

名の由来は古名のタタラビ(多々良比)の転という説があるが不詳。酷似する帰化種と区別して別名モトタカサブロウというが、本種も極めて古い時代に渡来したものと考えられている。

水田や水路、湖沼の周辺に多い高さ20-60cmになる1年草で変異が多い。茎は赤みを帯びて基部から分枝し、さらに葉腋から対生状に枝を出す。剛毛が生えていてやや白っぽく見える。これを撮影した場所は、崖から水が流れてくる海岸の湿った岩場で、かつ潮をかぶるようなところで、横にはって広がり、上部が立ち上がっていた。
葉はキク科では珍しく対生し、長さ3-10cm、幅0.5-2.5cmの披針形で先はとがり、鋸歯はやや不明瞭。両面に短い剛毛があって著しくざらつく。
上部の葉腋から長さ2-4.5cmの細い花柄を出して直径約1cmの頭花をつける。頭花は雌性の舌状花と両性の筒状花からなり、ともに実る。総苞は鐘形、総苞片は2列、草質で毛があり内片が短い。舌状花は白色で幅が狭く、やや2列に並ぶ。筒状花も淡緑色で先は4裂する。花床には剛毛がある。
痩果は長さ2.5-3mm、幅1.7mm。舌状花の痩果は3稜、筒状花のものはやや扁平な4稜形で先は切形、側面中央部にのみこぶ状の隆起があり、縁に幅広の翼があり、初め淡緑色で熟すと褐色になる。冠毛はない。こぼれやすく、水に運ばれて殖える。

全草を乾燥したものを煎じて血尿や血便に用いる。
帰化種のアメリカタカサブロウは、葉の幅が狭く、痩果は翼がないので角張って見える。
花期:7-10月
分布:本・四・九・沖
撮影:2018.9.28 神奈川県三浦市
タカサブロウの頭花
雌性の舌状花と両性の筒状花はともに実る。 2018.9.28 神奈川県三浦市

タカサブロウの葉
アメリカタカサブロウに比べて長さの割に葉の幅は広く、鋸歯は目立たない傾向がある。 2018.9.28 神奈川県三浦市

タカサブロウの葉-2
葉の両面に短い剛毛が生えてざらつく。 2018.9.28 神奈川県三浦市

果期のタカサブロウ
3角形の萼片がよく目立つ。 2018.9.28 神奈川県三浦市

タカサブロウの果実
未熟な果実。縁に翼があることで、アメリカタカサブロウと見分けられる。 2018.9.28 神奈川県三浦市

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