ナツツバキ

ナツツバキ(ツバキ科)[夏椿]

夏にツバキに似た花が咲くのでこの名がある。別名シャラノキシャラというのはインド原産のサラソウジュ(沙羅双樹)と誤認したかまたはそれになぞらえたもの。

山地の林内に生える落葉高木で、幹は直立して高さ10-20mになる。庭木や公園樹として植栽される。材は床柱や器具材、彫刻材とされる。北限は岩手県大船渡市。
樹皮はヒメシャラ、リョウブ、サルスベリなどに似て平滑で、10年ほど経つと不規則な薄片となって剥げ落ちて赤褐色、灰白色、灰褐色などのまだら模様になる。若枝は毛を散生する。
葉は互生し、長さ4-10cm、幅2.5-5cmの楕円形~長楕円形で低く円い鋸歯があり、基部はくさび形で先はとがるが鈍端。質はやや厚く、表面は緑色で無毛、裏面は全体に伏毛があってやや白っぽい。脈腋に毛叢がある。葉脈は表面でくぼみ、裏面に突出する。葉柄は長さ0.3-1.5cmで下面に毛を密生する。
本年枝のやや下方の葉腋に直径5-7cmの白色の花が上向きに1個つく。萼片は長さ0.7-1.2cmの倒卵形で5個、背面に白毛を密生する。花弁は5個、長さ3.5-4cmの円形で縁が波打ち、まばらな細かい鋸歯がある。基部は合着する。花の基部に萼片より短い2個の小苞がある。雄しべは多数で基部は花弁につく。花糸は無毛で基部は合生。花柱は長さ1cmで先は5裂する。
果実は直径1.5-2cmの木質で硬い先のとがった卵形の蒴果で、9-10月に熟して5裂する。種子は扁平な卵形で長さ5-6mm。

同属のヒメシャラは神奈川県以西に分布。花が小さく、直径1.5-2cmで開花はナツツバキより1か月ほど早い。小苞は萼と同長以上。葉の裏面の毛は脈上にのみ生える。
花期:6-7月
分布:本(岩手県以南)・四・九
撮影:2013.7.6 秋田県湯沢市
ナツツバキ-2
庭や公園のほか、寺院(特に天台宗)にも植栽される。 2021.6.7 横浜市金沢区

ナツツバキの花
花の直径は5-7cm。花弁の縁に細かい鋸歯が出る。 2022.6.20 横浜市金沢区

ナツツバキの萼片
萼片は倒卵形~円形。萼片の下に萼片より短い2個の小苞がある。 2022.6.20 横浜市金沢区

ナツツバキの葉
質はやや厚く、縁に低く円い鋸歯がある。 2022.6.20 横浜市金沢区

ナツツバキの葉-2
裏面は全体に伏毛があってやや白っぽい。葉脈は裏面に突出する。 2022.6.20 横浜市金沢区

ナツツバキの樹皮
樹皮はまだら模様になる。 2021.6.7 横浜市金沢区

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