メハジキ

メハジキ(シソ科)[目弾]

名は、短く切った茎をまぶたの上下につっかえ棒のようにして、目を開かせて遊んだことからついたといわれる。漢方では産前産後の止血に用いることから、別名をヤクモソウ(益母草)という。

日当たりのよい道端や荒れ地、海岸に生える越年草。茎は4稜形で白色の短毛が密生して直立し、高さ0.5-1.5mになる。
葉はきれいに十字対生する。根生葉は長い柄のある卵心形で鋸歯があり、花時には枯れてない。茎葉の葉形は1つの株の中で変化に富み、下部の葉は長い柄があって掌状、中部の葉は3全~深裂し裂片はさらに切れ込み、上部の葉は無柄で切れ込まず線形となる。葉の形がこのように特徴的なので、ほかとの区別は容易。葉の裏面には白色の短毛がある。
茎の上部の葉腋に淡紅紫色で長さ1-1.3cmの唇形花が数個ずつ集まって花輪(仮輪)をつくる。刺針状の萼より短い小苞がある。萼は長さ6-7mmの筒状鐘形で5脈があり、先は等しく5浅裂して裂片の先は刺状にとがり、斜めに広がる。花冠は長さ1-1.3cmの2唇形で外面に萼とともに白色の短毛が密生し、上唇は直立し全縁、下唇は開出し、3裂して中央裂片はさらに2裂する。下唇には濃紅紫色の縦筋がある。雄しべは4個で下側の2個が長く、上唇の内側に沿って斜上する。
果実は4個の黒色の分果からなり、分果は3稜形、長さ約2.3mmの広いくさび形。

薬用としては、花期に地上部を刈り取って日干ししたものを益母草(やくもそう)といい、止血、月経不順、めまいなどに、分果を乾燥したものを茺蔚子(じゅういし)といい、利尿、解熱に用いる。
白花をつけるものをシロバナメハジキという。同属のキセワタは葉が卵形で分裂せず、花冠は長さ2.5-3cm。
花期:7-9月
分布:北(胆振以南)・本・四・九・沖
撮影:2005.9.4 青森県五戸町
メハジキ-2
中部の葉は3全~深裂し裂片はさらに切れ込み、上部の葉は分裂しない。 2016.7.29 神奈川県三浦市

メハジキの花序
花冠は長さ1-1.3cm。 2016.7.29 神奈川県三浦市

メハジキの萼・小苞
萼裂片は刺状。萼の基部に萼より短い小苞がある。 2022.8.25 東京都八王子市

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