クヌギ

クヌギ(ブナ科)[椚・櫟・橡]

名の由来については諸説あり、①クニキ(国木)の転(景行天皇が命名した伝承説話があることから)、②クニキ(食之木)の転(食用の実をつけるブナ科樹木の総称であることから)、③クリニギ(栗似木)の転、④クズニルキ(屑煎木)の転(皮を煎じて染料にすることから)などがある。

山地や丘陵地に生え、高さ15-30mになる雌雄同株の落葉高木。コナラとともに武蔵野の雑木林を構成する代表樹。材は薪炭材や器具材、シイタケ栽培の原木に用いられ、昔は落ち葉を堆肥に、どんぐりは豚の飼料とされた。
樹皮は厚くて硬く、灰褐色で縦に不規則に深く割れ、割れ目の底は橙色を帯びる。樹液にカブトムシやクワガタが集まる。
葉は互生し、表面は濃緑色で光沢があり、初め軟毛があるがのちに無毛。裏面は淡緑色で脈上に黄褐色の軟毛がある。長さ8-15cm、幅3-5cmの長楕円状披針形で、先は鋭くとがり、基部はくさび形か心形または円形で左右非相称。縁に波状の鋸歯があり、先端は長さ2-3mmの白っぽい針状になる。側脈は13-17対。葉柄は長さ1-3cm、托葉は長さ1.2cmの線形で葉の展開後に落ちる。
葉の展開と同時に開花する。本年枝の下部から黄褐色で長さ7-10cmの雄花序を下垂する。花序には軟毛が多く、雄花は直径2.5mmの杯形で、花被は膜質で3-5深裂する。雄しべは3-6個で花被の外に出る。雌花は本年枝の中部より先の葉腋に1-3個つく。花柱は3個。受粉しても小さいままで越冬し、翌年の春に受精が済むと急に大きくなり、秋に子供に人気のどんぐりとなる。
果実は堅果で翌年の秋に熟す。直径2-2.3cmの球形で、下半部は椀形の殻斗に包まれる。殻斗はらせん状に線形で厚みのある鱗片が密につき、上部のものほど長く、外反する。

よく似たアベマキは、幹にコルク層が発達し、押すと弾力がある。葉はクヌギより幅が広く、円みを帯びる。裏面は灰白色で星状毛が密生する。クリは、鋸歯はクヌギより太く短く、先は緑色。
花期:3-5月
分布:本(岩手・山形県以南)・四・九・沖
撮影:2017.3.31 横浜市中区
クヌギの葉
鋸歯の先は白っぽい刺状。 2016.9.12 神奈川県横須賀市

クヌギの若い堅果
堅果は翌年の夏に急に生長する。 2016.9.12 神奈川県横須賀市

クヌギの堅果
翌年の秋に熟した堅果。 2019.9.27 神奈川県藤沢市

落果したクヌギ
果実は落下して殻斗を脱ぐ。 2014.10.12 横浜市中区

クヌギの樹皮
樹皮の割れ目の底は橙色を帯びる。 2017.3.31 横浜市中区

クヌギの虫こぶ
花序にできた虫癭(クヌギハナカイメンフシ)。クヌギハケタマバチの産卵によるもの。 2018.4.3 神奈川県茅ヶ崎市

コナラに戻る クリに戻る ヤマコウバシに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。