カノコソウ

カノコソウ(スイカズラ科)[鹿の子草]

上から見た蕾を鹿子絞りに見立ててこの名がある。オミナエシの姿に似て春に咲くので、別名ハルオミナエシという。

山野のやや湿った草地に生える多年草で、高さ30-80cmになる。茎は太く直立し、節に白い長毛がある。北限は青森県で、海岸の草地に生えるがごくまれ。
細長い根茎を出し、根は太く、多数出る。
葉は対生し、根生葉は長い柄があって卵状長楕円形、花時には枯れてない。茎葉は羽状に全裂し、裂片は3-7個で広披針形、先はとがり縁に粗く鋭い鋸歯がある。
茎の先の密な集散花序に淡紅色の花が集まって咲く。苞は線形。花冠は直径3mm、長さ4-7mmで先が5裂して開出し、花筒の片側が少し膨れる。雄しべは3個で葯は2室、花冠から長く突き出る。萼は果時に冠毛となる。子房は3室で1室のみ結実する。
果実は長さ4mmの披針形の痩果。白色の羽状冠毛がある。

根茎は纈草根・吉草根(けっそうこん・きっそうこん)といい、精油を含み特有の香りがあり、精神不安の鎮静薬に用いられる。ヨーロッパ産のセイヨウカノコソウは成分が薄く、カノコソウのほうが効果が高いのだという。
白い花をつける品種をシロバナカノコソウという。同属で普通に見られるツルカノコソウは、葉の裂片の鋸歯は波状。雄しべは花冠から突き出ない。
花期:5-7月
分布:北・本・四・九
撮影:2004.6.13 青森県西部
カノコソウの花
雄しべは花冠から長く突き出る。 2004.6.13 青森県西部

カノコソウの葉
茎葉は羽状に3-7全裂し、裂片の鋸歯は鋭い。 2004.6.13 青森県西部

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