ワサビ

ワサビ(アブラナ科)[山葵]

名の由来は①ワサ(早生)+ヒビナ(ヒリヒリと辛い菜)の転、②ワサアフヒ(早生葵)で春早々に花をつけ、葉が葵に似る、③ワルサハリヒビク(悪戯疼)の略で辛いことを表す、など諸説ある。
在来の植物をそのまま有用な栽培植物としている数少ない例で、全草が香辛料、食用として栽培される無毛の多年草。

深山の清流のほとりに生え、高さ20-40cmになる。根茎は円柱状で多くの節があるが、野生品は栽培品ほどには発達せず、すりおろして使うほど太くならない。
根生葉は数個束生し、直径6-12cmの円形で基部は心形、縁に波状の鋸歯がある。表面には光沢があり、しわ状の多数の葉脈が目立つ。葉柄は長く下部は広がる。茎には柄のある長さ2-4cmの広卵形で基部が浅い心形の葉を数個互生し、上部のものほど小さくなり苞に移行する。
花茎は直立し、先端または上部の葉腋から短い総状花序を出し、白色で直径1cmほどの十字形花を密につける。苞は葉状で各花柄の基部に1個ずつつく。萼片は楕円形で4個。花弁も4個で長さ8-9mmの倒卵形で基部は爪状に細くなる。雄しべは6個でうち2個が短く、葯は黄色。子房は上位で花柱は1個、長さ2mmで細い。
果実は柄があり、長さ1.5-1.8cmの円柱形の長角果で数珠状にくびれる。種子は長さ約3.5mmの長楕円形で1列に並ぶ。

根茎を香辛料として刺身に添えるのは、昔からワサビのもつ防腐、殺菌作用を経験的に気づき利用してきたことによるのだろう。さらにワサビには食欲増進作用も認められる。野生品は根茎が細いので、山菜としては葉と葉柄、花蕾を利用する。薬用としては、神経痛やリウマチに根茎をすりおろしたものをガーゼに伸ばして塗布する。
よく似たユリワサビは湿った礫地などに生え、根生葉は直径5cm程度で光沢が弱く、花茎は伏してから立ち上がる。
花期:3-5月
分布:北・本・四・九
撮影:2009.5.10 秋田県湯沢市
ワサビ-2
2007.4.29 秋田市

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