ウワバミソウ

ウワバミソウ(イラクサ科)[蟒蛇草]

名はウワバミ(大蛇)の出そうなところに生えていることによる。なお、標準和名でミズというのは同じイラクサ科の別種の植物。

山地の常に湿ったところに群生する雌雄同株の多年草で、斜めに立ち高さ25-50cmになる。以前は雌雄異株とされていたが、雄花の脱落後に雌花が出るのだという。茎は多汁で無毛。秋になると茎の節ごとに膨らんでむかごとなり、それが倒れて無性生殖する。
葉は2列に並んで互生し、長さ5-12cm、幅2-4cmの長楕円形~狭卵形で左右不同、縁に7-15対の粗い鋸歯があり、先は長く尾状に伸びてとがる。両面に短毛がまばらにある。柄はないかあってもごく短い。
花は雄花が先に咲き、雄花の脱落後に雌花が出る。黄緑白色で葉腋につき、雄花序は1-3cmの柄の先につき、10個ほどの花を頭状に固めてつける。雄花は花被片は4-5個で雄しべも同数。雌花序は柄がなく、雌花は花被片3-5個、雌しべ1個で花被の背面に短毛が多い。
果実は長さ約1mmの卵形の痩果。

葉は使わないが茎はみずみずしく、第一級の山菜としてさまざまな料理に利用される。東北地方ではミズまたはミズナなどとよばれ、1か所見つけると大量の収穫が期待できる。あくもなく歯触りもよい。根茎はたたいてトロロに、茎やむかごは油炒めや漬物などに利用する。
よく似たヤマトキホコリはむかごはできない。花は8-10月に咲く。トキホコリは1年草で茎に開出毛があり、葉先は鈍頭。花は9-10月に咲く。関東地方以西から九州に生えるヒメウワバミソウは、丈が低く葉が細長く先が長い尾状にならない。鋸歯も少なく、5対以内。
花期:4-9月
分布:北・本・四・九
撮影:2016.5.16 神奈川県逗子市
ウワバミソウの雄花
雄花の花序には長い柄がある。花被片と雄しべは同数でふつう4-5個。 2017.5.1 神奈川県逗子市

ウワバミソウの雄花-2
花被片と雄しべが7個あるものも。 2017.4.28 横浜市栄区

ウワバミソウの葉
葉は左右非相称で縁に粗い鋸歯があり、先は尾状に伸びる。東北地方のものは鋸歯が多い傾向がある。 2009.6.13 青森県十和田市

ウワバミソウのむかご
茎の節ごとに膨らんでむかごとなって倒れて殖える。 2019.10.24 神奈川県逗子市

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