ウチワゼニクサ

ウチワゼニクサ(ウコギ科)[団扇銭草]

葉の形がうちわに似ていて、硬貨にも似ていることからこの名がついたというが、葉柄を含めた葉の形がうちわに似ているとは思えず、果柄についた扁平な果実のほうがよほど似ていると思う。葉が楯状につくので別名タテバチドメグサという。
チドメグサ属は旧来セリ科あるいは独立したチドメグサ科とされていたが、APG分類体系ではウコギ科に移された。
本種も含め、外来のチドメグサ類はウォーターマッシュルームの名で熱帯魚の水草として栽培され、それが広まったと考えられている。昭和62年(1987年)に兵庫県の淡路島で見いだされ、その後暖地を中心に広がっており、生態系などに悪い影響を及ぼすおそれがあるとして生態系被害防止外来種(重点対策外来種)に指定されている。

北アメリカ南部原産の無毛の多年草で、湿地や水中に茎をはわせ、節から根を下ろして地面や水面を覆うように群生する。
葉柄はふつう長さ5-10cmで水中に生育すると30cm以上になることもあり、葉の下面中央に楯状につく。葉は互生し、直径2-5cmのほぼ円形。縁にごく浅い円い鋸歯があって上面に強い光沢があり、下面に毛が散生する。
葉腋から葉柄とほぼ同長の花柄を出し、不同長の短い小花柄のある緑白色で直径2mmほどの5弁花を数段にわたって輪生する。雄しべは5個、花柱は2個。
果実は2分果で、分果は長さ2mm、幅3mmの扁平な楕円形で中央がくぼむ。

同じような場所に生えるブラジルチドメグサは外来生物法の特定外来生物指定種で、葉に掌状の深い切れ込みがあり、葉柄は心形にくぼんだ部分につき、楯形にならない。
花期:4-9月
分布:帰化植物
撮影:2020.5.11 横浜市金沢区
ウチワゼニクサの群落
水面を覆うように群生する。 2020.5.11 横浜市金沢区

ウチワゼニクサの花
数段にわたって5弁花が輪生する。 2020.5.11 横浜市金沢区

ウチワゼニクサの果実
分果は扁平な楕円形。 2020.5.11 横浜市金沢区

ウチワゼニクサの葉
葉の上面に強い光沢がある。 2020.5.11 横浜市金沢区

ウチワゼニクサの葉-2
葉柄は葉の下面中央に楯状につく。 2020.10.21 横浜市金沢区


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