ウルップソウ

ウルップソウ(オオバコ科)[得撫草]

名は、千島列島のウルップ島で最初に採集されたことからついたもの。
礼文島では海岸近くにも生えることから別名ハマレンゲという。属名のLagotisはウサギ+耳を表し、葉の形がウサギの耳に似ていることから。

従来、ウルップソウ属はゴマノハグサ科に含められたり、独立のウルップソウ科とされたりしてきたが、APGⅢではオオバコ科に含められた。
礼文島、白馬岳・雪倉岳など白馬山塊、八ヶ岳に隔離分布し、高山帯の湿った砂礫地に生える多年草で高さ10-30cmになる。花期が早く、梅雨明け後の登山シーズンでは下の画像のように見頃を過ぎていて少し残念な姿になっている。環境省レッドリスト準絶滅危惧(NT)。
太く短い根茎があり株をつくる。
葉は互生し無毛。根生葉は肉質で光沢があり、長さ5-10cm、幅5-13cmの卵円形~腎形で先は円形~鈍頭で基部はやや心形、縁に波状の重鋸歯がある。茎葉は2個、無柄で小さい。葉柄は長さ4-12cm。上部の茎葉は小さく、無柄。
花茎の先に大きな苞葉のある長さ5cmほどの穂状花序をつけ、青紫色の花を密に下から咲き上げる。苞は広卵形~卵円形。萼は筒形で膜質、腹面は基部まで裂け、背面は平らで長さ7-8mm、2稜がある。花冠は長さ1-1.2cmの上下2唇形で、上唇は長さ3-3.5mmの長楕円形で2浅裂、下唇は2-3深裂し、裂片は長さ3mmの披針形。雄しべは2個で、花冠上唇の基部の左右に1個ずつつき、上唇の半長ほどと短い。葯は小さく、長さ1mm、幅1.5mm。子房は2室、柱頭は僅かに2裂する。
果実は2室の堅果で1種子ずつ入っている。

白花をつける品種をシロバナウルップソウという。
北海道の大雪山系に産するホソバウルップソウは、葉が長楕円形でウルップソウに比べて幅が狭い。葉先もとがり気味。雄しべは上唇とほぼ同長。萼の先は円く、2裂しない。
夕張岳に特産するユウバリソウは、全体に小型で花の色が白色。
花期:6-8月
分布:北(礼文島)・本(白馬連山・八ヶ岳)
撮影:2008.8.3 長野県白馬村
ウルップソウ-2
2008.8.3 長野県白馬村


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