ツルネコノメソウ

ツルネコノメソウ(ユキノシタ科)[蔓猫の目草]

花後に長い走出枝を伸ばすことからこの名がある。ネコノメソウ属の植物は、変異の幅が大きく、経時的な変化も大きいことから識別が難しいが、これは花も葉もその中で一番小さいので分かりやすい。ネコノメソウの仲間でも特に水を好み、水中にも生えている。

山地の沢沿いの水湿地に生える軟弱な多年草で、高さ5-15cmになる。花後に長い走出枝を地上に四方に伸ばす。走出枝には花柄の葉と同形の葉を互生し、先端で発根して大型の根生葉を出して独立する。走出枝自体は枯れて消失する。
根生葉はふつう花時には枯れる。葉柄は長さ5-8cm、葉身は長さ2-3.5cm、幅3-5cmの円形で、基部は円形、縁に7-17個の切頭または円頭の鋸歯がある。葉は薄く、表面は緑色で粗い毛を散生し、裏面は淡緑色。花茎には2-3個の茎葉を互生する。茎葉は柄があって長さ2-8mm、幅3-9mmの扇形~円形で基部は鈍形~切形、上縁には5-7個の鈍頭または円頭の鋸歯がある。表面に長さ1-1.5mmの粗い毛が散生する。
花茎はほぼ無毛で集散花序を頂生し、苞は葉状で下部のものは茎葉と同じ、上部のものは卵形。花は直径3-6mmで短い柄があり、花弁はなく萼裂片は4個で果時まで残る。萼裂片は長さ1-2mm、幅1.5-2.5mmの広卵形で花時に平開し、緑色~黄緑色。花盤は黄色。雄しべは8個で花盤の外縁から出て花時に直立し、長さ0.7-1mm。裂開直前の葯は黄色。子房の下半分は萼筒と合着する。花柱は2個、長さ約1mmで果時は広く開出する。
果実は刺股状の蒴果で花柱間で裂開する。種子は多数でき、長さ0.6mmの卵形~長卵形で1稜があり微細な乳頭状突起がある。
花期:4-5月
分布:北・本(近畿地方以北)・四(剣山)
撮影:2002.4.7 青森県南郷村
ツルネコノメソウ-2
しばしば群生する。 2010.5.15 岩手県二戸市

ツルネコノメソウ-3
茎葉は扇形で互生する。 2006.4.15 岩手県久慈市

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