ツルフジバカマ

ツルフジバカマ(マメ科)[蔓藤袴]

名は、葉の付け根のとがった托葉を袴に見立てたとも、花の形自体を袴に見立てたともいわれる。また、牧野富太郎によれば花の色をキク科のフジバカマに見立てたという。

山野のやや乾いた、かつ肥沃な草原や道端に生える多年草。つる(茎)を伸ばして他の草に巻きひげで絡みついて2mほどまで伸びる。つるはやや4稜があって僅かに軟毛がある。根茎を長く伸ばして殖える。
葉はほぼ無柄で互生し、偶数羽状複葉で先端は分枝する巻きひげとなる。小葉は互生または対生しやや革質で10-22個(5-11対、ふつう7対)あり、長さ1.5-4cm、幅0.5-1.2cmの狭卵形~長楕円形でふつう両面に白軟毛があり、ときに無毛となる。側脈は主脈からおおむね30度以内の狭い角度で分かれる。托葉はやや大きくて小葉の半長ほどで質は厚くて硬く、数個の粗い歯牙がある。
葉腋から出る長さ4-15cmの総状花序の一方に偏って、紅紫色で長さ1.2-1.5cmの蝶形花が密につく。苞はごく小さい線形。萼は長さ6-7mm、5個の萼裂片は細くとがり不同長、最下の1片は他より長く、萼筒と同長またはやや短い。旗弁の舷部と筒部は同長、竜骨弁は翼弁より短く、鈍頭。
豆果は長さ2-3cm、幅5-6mmの扁平な狭楕円形で鋭頭、無毛で3-5個の種子を入れる。種子は暗褐色の楕円体で長さ約3mm、幅3.1-3.3mm。

クサフジとは慣れないと見分けが難しいかもしれないが、見慣れると赤みが強くぼってりした花穂のツルフジバカマと青味が強く花穂が細長いクサフジはすぐ見分けられるようになる。花が咲き始めるのはクサフジのほうが早く、5月頃から咲き始める。海岸に生えるヒロハクサフジは、小葉は小型の楕円形で先が円い。花序は短く、長さ3cmほど、托葉はほぼ全縁。
花期:8-10月
分布:北・本・四・九
撮影:2006.8.20 岩手県葛巻町
ツルフジバカマ-2
道沿いの斜面を覆うように咲いていた。 2022.9.13 神奈川県横須賀市

ツルフジバカマの花
紅紫色の蝶形花が密につく。 2022.9.13 神奈川県横須賀市

ツルフジバカマの苞
苞は線形でごく小さい。 2022.9.13 神奈川県横須賀市

ツルフジバカマの葉
小葉は5-11対で先端に分枝する巻きひげがある。 2022.9.13 神奈川県横須賀市

ツルフジバカマの托葉
托葉はやや大きくて小葉の半長ほどで質は厚くて硬く、数個の粗い歯牙がある。 2022.9.13 神奈川県横須賀市

ツルフジバカマの果実
豆果は無毛で先がとがり、3-5個の種子を入れる。 2022.10.3 神奈川県横須賀市

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