ツクバトリカブト

ツクバトリカブト(キンポウゲ科)[筑波鳥兜]

トリカブトの名は、花の形が舞楽に用いる鳳凰の頭をかたどった冠に似ていることによる。筑波山で発見されたのでツクバの名を冠している。
トリカブト類は言わずと知れた全草が猛毒な植物で、特に塊根の毒性が強く、古くは毒矢の材料として利用され、一方では薬用としても用いられてきた。変異が大きく、また交雑しやすいので分類が難しいが、関東地方の低地~丘陵地では主に本種が見られる。北限は青森県南部。

塊根は円錐形~紡錘状円錐形。栄養繁殖体(子根)を残すが母根は1年で枯れて消失するので、擬似1年草といわれている。
茎は草原では直立し、林縁では斜上または先端部が曲がり高さ0.6-1.5mになる。茎は下部を除いて屈毛がある。
葉は互生し、中部の茎葉はやや厚く、長さ幅とも9-20cmで3全~深裂し、側裂片はさらに2中裂するがしばしば2深裂するので初めから5裂しているように見えるものもある。各裂片には浅裂状の粗い鋸歯があり、鋸歯は長楕円状卵形で鋭頭またはやや鈍頭。両面と葉柄に屈毛がある。
花序は散房状で花柄に屈毛があり、花は上から咲いていく。花は青紫色、長さ3-4cmで外面に屈毛がある。萼片は5個あって花弁状。頂萼片は僧帽形で嘴はやや短い。2個の側萼片はほぼ円形~倒卵形、2個の下萼片は楕円形~長楕円形。花弁は2個で頂萼片の内側に隠れ、身部の中ほどで長い柄につきイの字形になる。柄の付着点より先は距となって蜜を出す。距は短く太い。雄しべは開出毛があって多数。雌しべは5-4個で無毛。
果実は袋果で花柱は果時にも残る。種子は多数で鱗片状の横ひだがある。
花期:8-10月
分布:本(青森県の太平洋側南部~中部地方)
撮影:2016.10.4 神奈川県葉山町
ツクバトリカブトの花
頂萼片の嘴はやや短い。 2017.10.5 神奈川県藤沢市

ツクバトリカブトの袋果
袋果は花柱が残る。 2017.10.12 神奈川県横須賀市

ツクバトリカブトの葉
春の芽出しの時期はニリンソウによく似ている。 2021.3.12 神奈川県藤沢市

ツクバトリカブトの葉-2
葉は3全裂し、側裂片はさらに2中裂する。 2017.10.5 神奈川県藤沢市

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