トサミズキ

トサミズキ(マンサク科)[土佐水木]

土佐(現在の高知県)に自生し、葉がミズキ(ミズキ科)に似ているのでこの名がある。元々野生種だが、江戸時代中期から観賞用に栽培されていて、今も庭園樹や公園樹として高い人気がある。1864年にイギリスに伝えられ、その後ヨーロッパに広がった。

高知県の蛇紋岩地や石灰岩地などの岩礫地にまれに生える落葉低木で、幹は地際から叢生し、株立ち状になって高さ2-4mになる。全体に似ているヒュウガミズキより大きく、枝はやや太い。樹皮は灰褐色で滑らか。
葉は互生し、長さ5-10cm、幅3-8cmの卵円形~倒卵円形で、縁に波状の鋸歯があってしばしは鋸歯の先が針状になり、基部は心形で先は急に短くとがるかやや鈍頭。側脈は5-8対で最下の1対はさらに外側に側脈を出す。質はやや厚く、表面は無毛、裏面は淡緑色で軟毛が多く、特に脈上に長い毛がある。葉柄は長さ1.5-2.5cmで軟毛が多い。托葉は膜質で脱落する。
早春に葉に先立って長さ3-5cmの穂状花序を下垂し、長さ約1cmの淡黄色の花を5-10個つける。苞は卵円形で内面に絹毛がある。花序軸に密に白毛がある。萼も有毛で5裂し、裂片は長さ約2mmの卵状披針形。花弁は5個で長さ約8mmのさじ形。雄しべは5個で花弁と同長か少し短い。葯は暗紅紫色。花柱は2個でやや花弁よりやや長い。
果実は直径0.8-1cmの球形の蒴果で先に花柱が宿存する。熟すと2裂して、長さ3-5mmの狭楕円形で光沢のある黒い種子を2個はじき出す。
よく似たコウヤミズキ(ミヤマトサミズキ)はトサミズキよりも日陰地に生え、葉柄は初め毛があるが後に無毛となる。ヒュウガミズキは花序が短く、葉も小さくて長さ2.5--5cm。
花期:3-4月
分布:四(高知県)
撮影:2021.3.16 横浜市栄区
トサミズキ-2
穂状花序に5-10個の花をつける。花序の軸は白色の密毛が生える。 2021.3.16 横浜市栄区

トサミズキ-3
花は5数性。 2022.3.17 横浜市中区

トサミズキの葉
葉は卵円形で、縁に波状の鋸歯があってしばしは鋸歯の先が針状になり、基部は心形。2017.4.28 横浜市栄区

トサミズキの樹皮
樹皮は灰褐色で滑らか。 2022.3.10 横浜市栄区


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