ショウジョウバカマ

ショウジョウバカマ(シュロソウ科)[猩々袴]

名は、花を能舞台に登場する空想の動物である猩々(酒を好む霊獣)の赤い顔に、地面に張り付いた葉を袴に見立てたものと説明されることが多いが、花ではなく冬期に葉の霜に当った部分が紅染することからついたものともいわれる。
多湿地に生える常緑の多年草で、低山帯から高山帯まで生育域が広いので、低山では春早くから、高山では夏に花を見ることができる。低山では林下の日陰に、高山では日当りのよい雪田脇などに生え、多様な環境で生き抜く強さがあるようだ。
根茎は太く短く垂直に伸びる。
葉は両面無毛でやや質が厚く光沢があり、長さ7-20cm、幅1.5-4cmの倒披針形~狭長楕円形で先はとがり縁は全縁。ロゼット状に多数が根生し、冬季も凍結に耐えるために赤みを帯びながらも枯れずに残る。開花時に花茎の基部から新葉のロゼットが展開し始める。
雪解けとともに葉の中心から高さ10-20cmの花茎を伸ばし、先端に短い総状花序をつけ、うつむき加減に3-10個のピンクの花を咲かせる。花序全体で一つの花に見える。花茎は中空の円筒形で数個の鱗片葉がつく。
花柄は長さ4-7mm、1個の花は直径2-3cm、花被片は長さ1-1.5cm、幅2.5-4mmの倒披針形で鈍頭、6個あり花柄との境がやや膨らみ、質は厚い。色は白から赤、紫まで変化がある。古くなると花被は鮮やかさを失い、帯緑褐色になって上を向き、果期にも残る。雄しべは6個、葯は紫黒色で長さ2mm、花糸は花被片と同長かやや長い。花柱は長さ1.5cmほどで雄しべとともに花外へ長く突き出る。
花が終わると花茎は50-60cmに伸び、咲き始めの可憐さは微塵もなくなってしまう。しかしこれは繁殖のために微細な種を少しでも遠くに飛ばすためのしたたかな戦略だ。
さらに葉先に不定芽(クローン株)をつくる術も持ち合わせており、親株の周りに同心円状に小苗が育つ。
果実は長さ6-8mmの蒴果で、3裂して上向きに熟す。種子は長さ5mmほどの線形で、両端に白い糸状の付属体がつく。
シロバナショウジョウバカマは花が白く、葉の縁に波状鋸歯があり、関東以西と四国に分布する。九州には花被片と花柄との境が膨れないツクシショウジョウバカマが分布する。
花期:3-7月
分布:北・本・四・九
撮影:2010.4.25 岩手県花巻市

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