シャク

シャク(セリ科)[杓]

別名をコジャクという。名の由来については不明だが、一説に「サク」の転で、神事に使う赤米(さくまい)にシャクの果実が似ているからという。もう一つの説は、東北地方では昔からオオハナウドのことをサクといい、それに似て小型であることからシャクのことをコシャクまたはコジャクといっていた(別名はまさにそのとおり)ものが「小」が取れてシャクになったという。
しかし、東北地方で「サク」といえば普通はオオハナウドではなく、エゾニュウのことを指し、特に秋田県で山菜として人気が高く、よく利用されている。 シャクは葉をもむとセリのようなよい香りがするが、若い芽出しのときのものを摘んで山菜として利用する。昔は近所の人と一緒に自分もよく採って食べた。1か所で大量に採れるが、採りすぎないようにしたい。花期はずれているが、極めて危険なドクニンジンと取り違えて採取するおそれがある。ドクニンジンは茎に紫紅色の斑紋があり、分果はほぼ球形などの点をしっかり見極めることが重要。

流れの近くなど湿った山野に多い多年草で、茎は上部で分枝し、高さ0.8-1.5mになる。根茎は肉質で太く、地中にまっすぐに伸びる。
葉は軟らかく、互生して長い葉柄があり、2-3回3出羽状複葉で細かく切れ込み、先は尾状に伸びてとがる。裏面脈上に剛毛がある。
枝先に複散形花序を出して小さな白い花をつける。セリ科では珍しく春に花を開く。総苞片はなく、小総苞片は数個あり、線形~披針形で下を向く。花柄は4-15個。花弁は5個で周辺花の外側の1-2花弁はほかよりも大きい。雄しべは5個で花弁と互生し、葯は白色、花柱は2個で短く、外側に曲がる。柱下体は円錐状。萼歯片はない。
分果は無毛で長さ7-8mmの円柱形で先がとがり、黒熟する。果期は8月。

果実に上向きの短刺毛があるものをオニジャク(オニシャク、ケジャク)という。ノハラジャクは分果は卵形でかぎ状の刺毛がある。
花期:4-6月
分布:北・本・四・九
撮影:2005.5.29 岩手県九戸村
シャク-2
枝先に複散形花序をつける。 2017.5.1 神奈川県葉山町

シャク-3
周辺花の外側の1-2花弁はほかよりも大きい。 2017.5.1 神奈川県葉山町

シャク-4
分果は円柱形。 2017.5.1 神奈川県葉山町

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