ソナレムグラ

ソナレムグラ(アカネ科)[磯馴葎]

名は、牧野富太郎が「磯馴の松」と同じく強い潮風を受ける海岸に生えるむぐら(草むら)の意でつけたもの。別名イソイナモリソウという。従来フタバムグラ属に分類されてきたが、最近の研究によりシマザクラ属に移された。

海岸の崖地や岩場の割れ目などに生える多肉、無毛で常緑の多年草。茎は根元で多数分枝して地をはい高さは5-15cmになる。風当たりの強いところでは高さ5cmほどでコケのように岩に張りついている。関東地方では少ない。
葉は密に対生して、多肉質で光沢があり長さ1-2.5cm、幅0.7-1.2cmの楕円形~倒卵形で先は円く、下部は狭まって短い柄となる。表面は光沢があり縁は少し外側に曲がり、中心のへこみが目立つ。基部に先のとがった小さな3角形の托葉がある。
茎の先や上部の葉腋に直径3-4mmの白色の花を1個つけ、数個が群がって2出集散花序をつくる。花柄は長さ3-5mm。ポツポツと咲くので花期でも目立たない。萼は鐘形で4稜があり、萼裂片は長さ1-1.5mmの3角状卵形で先は鈍い。花冠は長さ1.5-2mmの短い筒状で先は4裂し、裂片の先はとがり、喉部に細毛がある。雄しべは4個、子房は下位で2室。
果実は直径4-5mmの倒卵状球形の蒴果で萼に包まれる。種子は小さな楕円形で種皮に網目模様がある。

沖縄県に生えるシマソナレムグラは1年草で、葉が薄く、蒴果は小さく直径2-3mm。
似た環境に生えるサクラソウ科のハマボッスは、茎が赤くて立ち上がる。花も大きく直径1cmほどあり、花冠は5裂する。関東地方では花期も早いので間違えることはないだろう。
花期:7-11月
分布:本(千葉県以西)・四・九・沖
撮影:2016.7.5 神奈川県三浦市
ソナレムグラ-2
葉の中心のへこみが目立つ。 2018.9.9 千葉県南房総市

ソナレムグラの花
花冠は白色で通常は4裂する。葉は肉厚で光沢がありアカネ科には見えない。 2016.7.5 神奈川県三浦市

果期のソナレムグラ
果実は萼に包まれる。 2016.10.20 神奈川県三浦市


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