シロダモ

シロダモ(クスノキ科)[白梻]

名の由来は不明。葉の裏面が白いので「シロ」、「タモ」はタブノキのタブの転だという。「タブ」は朝鮮語由来で丸木舟を造る木を意味するという説がある。

山野のやや湿ったところに普通に生える雌雄異株の常緑高木で高さ10-15mになる。庭木や公園樹、防風樹として植栽される。
樹皮は緑色を帯びた暗褐色で平滑、小さな円形の皮目が多い。新枝は黄褐色の毛が密生する。
葉は革質で枝先に車輪状に集まって互生し、長さ8-18cm、幅4-8cmの長楕円形~卵状長楕円形で全縁、基部はくさび形、先は鋭くとがる。表面は濃緑色で光沢があり、裏面は蠟質に被われ灰白色。基部近くで分岐する3行脈がよく目立つ。若葉は垂れ下がり、両面とも黄褐色の長い絹毛に被われるが、のちに表面は無毛となり裏面に少し残る。葉柄は長さ2-3cm。葉にはしばしばシロダモタマバエによる虫癭(虫こぶ)ができ、シロダモハコブフシとよばれる。
秋に葉腋に直径6-7mmの淡黄褐色の小花が散形状に密生して咲く。上の画像の花は雄花。花被片は4個で花後に脱落する。雄花は雌花より大きく雄しべは6個、不稔の雌しべが1個ある。葯は4室、内輪の3個の雄しべの花糸の両側に腺体がつく。雌花は雌しべが1個と葯のない仮雄しべが6個ある。総苞片は広楕円形。
果実は長さ1.2-1.5cmの楕円状球形の液果。翌年の晩秋に赤熟するので、雌株では果実と花が同時に見られる。種子は球形。種子の油はつづ油といい、ろうそくの原料として、また燈油として用いられた。

果実が黄色いものをキミノシロダモという。混生しているヤブニッケイは、葉に3行脈があってよく似ているが、コクサギ形葉序といって葉が片側2個ずつ出る特殊な互生となる。花は6月頃に咲き、その年の秋に黒熟する。
花期:10-11月
分布:本(宮城県、秋田県以南)・四・九・沖
撮影:2019.11.29 横浜市栄区
シロダモの雄花
雄花。 2016.11.17 神奈川県横須賀市

シロダモの果実
開花翌年の晩秋に実る。 2014.10.24 横浜市栄区

シロダモの若葉
春浅い時期によく目立つ。遠目にもその存在が分かる。 2016.4.8 神奈川県横須賀市

シロダモの若葉-2
若葉は絹毛に被われ垂れ下がる。 シロダモを「ウサギの耳」とよぶ地方があり、このふわふわした若葉を指している。 2017.4.10 神奈川県横須賀市

シロダモの葉の表面
葉は革質で表面は濃緑色で光沢がある。側脈は基部より少し先で分岐する。 2019.10.24 神奈川県逗子市

シロダモの葉の裏面
裏面はロウ質に被われ灰白色。 2019.10.24 神奈川県逗子市

シロダモの葉についた虫こぶ
葉にできた虫癭(虫こぶ)。シロダモタマバエによるもので、シロダモハコブフシとよばれる。 2021.10.7 川崎市多摩区

シロダモの樹皮
樹皮は小さな円い皮目が目立つ。 2019.10.24 神奈川県逗子市

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