センニンソウ

センニンソウ(キンポウゲ科)[仙人草]

名の由来は、一説には果実の羽毛状の白い毛を仙人の髭または白髪に見立てたものという。

日当たりのよい道端や草むらに普通に生え、葉柄で他の草木に絡みついて伸びるつる性で茎の基部が木質になる半低木。絡むものがないときは地をはう。茎は円柱形で初め短毛があるが、のちに無毛となる。青森県では内陸よりも海岸沿いの草地や岩を覆うように生えていることが多い。
葉は質が厚くやや光沢がある。長い柄があって対生し、1-2回奇数羽状複葉で小葉は3-7個(ふつう5個)。長さ3-7cmの卵形~卵円形で全縁、先は細くなり鈍頭、先端は小さく突出する。しばしば下部の小葉は2-3片に切れ込むが鋸歯はない。
枝先と葉腋から3出集散状の花序を出し、全体として大きな円錐状になって多数の花を密につけ、全体としては長い間咲いている。花は白色で直径2.5-3cm、上向きに咲き十字形に平開する。花弁はなく、花弁に見えるのは萼片で4個、長さ2.5cmの倒披針形で縁に白毛を密生する。雄しべは無毛で多数。雌しべは7-8個あり花柱は細長い。花後に花柱が3cmほどに伸びて長い毛を密生し、果期まで残る。
果実は長さ0.7-1cmの扁平な倒卵形の痩果で赤褐色、縁は隆起する。先に宿存した花柱が銀白色の長い毛を密生して風に飛ばされて運ばれる。

茎や葉にかぶれを起こす有毒物質プロトアネモニンを含み、かつては便所のうじ虫の駆除に用いた。誤って飲食すると胃腸がただれ、血便が出る。漢方では威霊仙(いれいせん)とよび、利尿、鎮痛などに用いる。クレマチスの接木の台木に用いられる。
ボタンヅルとともにクレマチスの仲間であり、ボタンヅルは1回3出複葉で小葉に欠刻状鋸歯のあることで区別できる。ボタンヅルに似ていて関東地方~中部地方に分布するコボタンヅルは葉が2回3出複葉。
花期:8-10月
分布:日本全土
撮影:2016.9.6 神奈川県横須賀市
センニンソウ-2
絡みつくものがないときは地をはって群生する。  2010.9.4 青森県八戸市

センニンソウ-3
雪が積もっているかと見紛うようなところも。 2022.9.13 神奈川県横須賀市

センニンソウの花
雄しべは多数で花糸も葯も白色。 2017.9.1 神奈川県横須賀市

センニンソウの葉
葉は奇数羽状複葉。小葉は切れ込みがなく、先端は小さく突出する。 2017.9.1 神奈川県横須賀市

センニンソウの果実
痩果の先に白毛をまとった花柱が残る。 2017.11.29 横浜市栄区

ボタンヅルに戻る コミヤマハンショウヅルに戻る コボタンヅルに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。