サンカクヅル

サンカクヅル(ブドウ科)[三角蔓]

つる性で葉が3角形なのでこの名がある。つるを切ると滴るかすかに甘い汁で修験道の行者がのどを潤したということから別名ギョウジャノミズという。分布として北海道の記載がない図鑑が多いが、北海道でも西南部に僅かながら自生がある。

山地に生える雌雄異株の落葉つる性木本。葉と対生して出る巻きひげでほかの低木に絡みついて伸びる。本年枝は縦筋があって細く、初め赤褐色の毛があるがのちに無毛となる。
葉は互生し、ふつうは分裂せず、長さ4-9cm、幅3-8cmの3角状卵形で縁に歯牙状の鋸歯があり、基部は切形~浅い心形で先は鋭くとがるが、下部の葉では先があまりとがらない。若木の葉は細長く、老木では幅広い傾向がある。4-5対の側脈があり、途中でよく分枝する。質は薄く、表面は無毛、裏面は初め脈上にクモ毛があるがのちに硬い短毛となり、脈腋に縮毛が僅かにある。葉柄は長さ2-5cm。幼木や若い枝につく葉はしばしば浅く切れ込み、ときにキレハノブドウのように深裂するものもある。秋には美しく紅葉する。
葉と対生して長さ4-9cm、幅1.5-3cmの円錐花序を出し、黄緑色の小さな花を多数開く。花序の軸に赤褐色のクモ毛があり、花序には巻きひげはつかない。萼片は5個、花弁も淡緑色で5個あるが、開花と同時に先端が合着したまま脱落する。雄しべは5個。柱頭は頭状。
果実は直径約7mmの球形の液果で9-11月に藍黒色に熟し、甘いので食べられる。2-3個の種子を含み、種子は長さ4-5mmの心円形で茶褐色。

西日本に分布する変種のケサンカクヅルは、葉の表面に初めクモ毛があるが、のちに縮毛となって後まで残る。裏面には褐色のクモ毛が初めから全面にある。アマヅルは葉の両面に光沢があり、側脈の分岐は少なく、鋸歯は波形で円みがある。エビヅルは葉が3-5浅~中裂し、表面にしわが多く、裏面は淡褐色のクモ毛が密生する。
ウスゲサンカクヅルは葉の表面は無毛、裏面は薄くクモ毛があり、種子はやや小さい。サンカクヅルとエビヅルの雑種という説もある。
花期:5-6月
分布:北(西南部)・本・四・九
撮影:2019.6.3 神奈川県小田原市
サンカクヅルの花穂
花序は葉と対生して出る。 2019.6.3 神奈川県小田原市

サンカクヅルの雌花
雌花。いじけた5個の退化雄しべがある。花弁は開花とともに脱落する。 2019.6.3 神奈川県小田原市

サンカクヅルの若い果実
まだ若い果実。秋に黒熟する。 2019.6.3 神奈川県小田原市

サンカクヅルの葉
側脈は4-5対で途中で分岐する。 2019.7.10 神奈川県小田原市

サンカクヅルの若い葉
若い葉は細長く、しばしば浅く切れ込む。 2019.7.10 神奈川県小田原市

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