オオミスミソウ

オオミスミソウ(キンポウゲ科)[大三角草]

ミスミソウに似て全体に大きいことからついたもの。ミスミソウの品種とされる。
岩手県各地にあるものは、従来単純にミスミソウだとか、または太平洋側だからスハマソウだとかといわれてきたが、これはオオミスミソウに当たるもの。分布について日本海側だからこれ、太平洋側だからこれと単純に決めつけることはできない。
なお、秋田県に生えるものはスハマソウだといわれているが、スハマソウの分布は本州では中部地方以西とされたり、関東地方以北の太平洋側とされたりしてどれが本当なのかよく分からない。前段の例もあり、秋田産のものは何なのか何が正しいのか不明。この仲間にはほかにケスハマソウとエチゼンミスミソウがある。

山地の木陰に生え、高さ10-20cmになる多年草。葉は落ち葉に守られ、常緑のまま越冬する。
根茎は匍匐し、細長く節が多い。
根生葉は長い柄があり、幅5-10cmの三角状で3浅~中裂し、基部は心形、裂片の先は鈍頭~やや鋭頭で幅広く全縁。裏面は柄とともに長い毛が生える。
長い花柄を根生葉の葉腋から数本出してその先端に白色、淡紅色、赤紫色、藍色やこれらの混合したものなどさまざま変化に富んだ花を1個つける。萼片だけでなく、雄しべの色もさまざま。花は直径1.5-2cmで花弁はなく、萼片は花弁状で6-10個あり、長さ0.8-1cmの線状披針形~長楕円状披針形。雄しべ、雌しべは多数。雌しべの柱頭は短い。花弁状の萼片のすぐ下に萼片状の茎葉(苞葉)が3個つく。
花後に花茎は曲がり下を向き果実をつける。果実は痩果の集まったもので種子は1個ずつ含む。

基本種のミスミソウは全体に小型。スハマソウはミスミソウの品種で、葉の裂片の先が鈍頭のものをいうが、変化は連続的で区別の難しいものがある。ケスハマソウは4倍体で葉の両面が有毛のもの、エチゼンミスミソウは産地が極限されており萼片が黄色のものをいう。
この仲間は雪割草とよばれて昔から山野草として人気があり、山野草愛好家を騙る泥棒の餌食となってすっかり少なくなった。野にあるからこそ美しいと思う。かわいそうに、鉢植えや庭植えにされたものは我が身の不幸を嘆き、本来の輝きをすっかり失っている。
花期:3-5月
分布:本(主に日本海側)
撮影:2010.4.25 岩手県花巻市
オオミスミソウの白花
白花。萼片状の茎葉(苞葉)も確認できる。 2010.4.25 岩手県花巻市

オオミスミソウの葉
越冬した葉。 2010.4.25 岩手県花巻市

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