オオマツヨイグサ

オオマツヨイグサ(アカバナ科)[大待宵草]

名はマツヨイグサの仲間で花がふっくらとして大きいことからついたもの。俗に月見草といっているが、和名でツキミソウといえば白色の花弁をつける別種に与えられた名。

明治時代初期(1870年頃)に渡来し、各地の海辺の砂地や河原などに野生化している可変性2年草。現在ではメマツヨイグサに追いやられ、都市近郊では見かけなくなった。この仲間は全て北アメリカ原産であるが、本種は北アメリカには自生がなく、北アメリカ原産のものをヨーロッパで観賞用に作出した雑種起源といわれている。
この仲間では一番花が大きく美しいので、太宰治が「富嶽百景」で「富士には月見草がよく似合う」と書いたものは、ツキミソウでもマツヨイグサでもなく本種であると想像できる。
根は白色で太く、垂直に伸びる。茎は円柱形で直立し高さは0.8-1.5mになる。茎には基部が赤く膨らむ硬い直毛が多数あり、上部には腺毛もある。
根生葉は有柄、倒披針形で先は円い。茎葉は無柄で互生し、長さ5-15cm、幅2.5-4cmの長楕円形~長楕円状披針形で先がとがり、縁は小さい突起状の鋸歯があり基部に向かって葉面が波打つ。
穂状花序に直径6-8cmの花が多数密生して下から上に向かって咲き上がる。日が落ちてからほんの1-2分の間に肉眼で見える速さで開花し、芳香を放ちながら翌日の午前中にしぼむ。しぼんだ花は赤くならない。萼筒は長さ3.5-5cmの円柱形で花柄のように見え、萼裂片は4個で長さ2.8-4.5cmの披針状3角形、2個ずつ合着し赤色を帯びるか赤色の線があり、先端に長さ5-8mmの突起があり、開花時に反り返る。花弁は黄色で4個、長さ3.5-5cmの倒卵形で先がくぼむ。雄しべは8個、花糸は糸状で葯は長さ1-1.2cmで丁字着。花粉は稔性のないものも多数含まれて大小があり、粘着糸についた花粉が万国旗かネックレスのように引き出されて蛾の体にまとわりつく。子房は下位で柄のように見え、腺毛が密生し、長軟毛と基部が膨らむ赤色を帯びた長毛が多数ある。雌しべは1個で柱頭は4裂し、花時に葯の上部にある。
果実は長さ2-3.5cmの円柱形の蒴果。熟すと4裂するが裂片は巻かず、風に揺られて種子をこぼす。種子は褐色~濃褐色の角柱形でしわが多く、長さ1.3-2mm、各室に2列につく。地面に落ちた種子は春に発芽してロゼットでその年を過ごし、通常はさらに越冬して翌年の夏に開花する。

都市近郊で普通に見られるメマツヨイグサは花の直径は1.5-3cmと小さい。なお、オオマツヨイグサとの間種と思われるものも見つかっている。
花期:7-9月
分布:帰化植物
撮影:2013.8.25 岩手県八幡平市
オオマツヨイグサ-2
花は直径6-8cmと大きい。 2005.7.3 青森県八戸市

オオマツヨイグサ-3
2022.9.22 青森県八戸市

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