オオバヤシャブシ

オオバヤシャブシ(カバノキ科)[大葉夜叉五倍子]

ヤシャブシより葉が大きいのでこの名がある。一説に、ヤシャブシの「ヤシャ」は果穂に多く含まれるタンニンを染料に使うことから、濃く染めることを意味するヤシホ(八汐、八入、八塩)の転で、ブシはヌルデの葉につく虫癭(虫こぶ)、五倍子(ふし)に由来するという。また異説で、「ヤシャ」は果穂の表面がでこぼこであることを鬼の仲間である夜叉にたとえたものとするものがある。

海岸近くの丘陵地~山地に生え、高さ5-12mになる雌雄同株の落葉小高木~高木で日本固有種。枝は灰褐色で無毛。若木の樹皮は平滑で円い皮目があるが、古くなると縦横に割れ目が入り剥がれ落ちる。冬芽は枝先に葉芽、その下に雌花序、裸出した雄花序の順に並ぶ。芽鱗は3-4個。
葉は互生し、長さ6-12cm、幅3-6cmの3角状卵形で縁に鋭い重鋸歯があり、基部は円形で左右が非相称、先は鋭くとがる。表面は濃緑色で光沢があり無毛、裏面は淡緑色で脈上や脈腋に少し毛があるか無毛、腺点がある。側脈は11-16対で直線的に葉縁に伸びる。葉柄は長さ1-2cmで無毛。
枝先の葉芽の展開前~ほぼ同時に開花する。雄花序は無柄で長さ4-5cm、幅1cmの穂状、前年の葉腋から1個ずつ弓なりに下垂する。雌花序は長さ1-2cmの柄があり、ヤシャブシと違って雄花序より上の側芽に1個ずつつく。
果実は堅果で10-11月に熟す。果穂は長さ2-2.5cmの広楕円体で斜上し、堅果を出し終えても果鱗は長く枝に残る。果鱗は長さ8mmほどの扇形で黒褐色。堅果は4-5mmの狭長楕円形で左右に幅1-1.5mmの翼がある。

ヤシャブシ類は根粒菌と共生して空気中の窒素を固定し、やせ地でもよく育つので、砂防・緑化樹として各地で植栽され、本来の自生地以外でも広く野生化している。果穂はタンニンを多く含み、漁網などを染める黒色の染料とされ、かつてはお歯黒にも使われた。
同属のヤシャブシは葉がやや細く、側脈は13-18対、果穂は長さ1.5-2.5cmで雄花序の下に1-3個(ふつう2個)ずつつく。ヒメヤシャブシは葉が細長く、側脈は17~28対、果穂は長さ1-2cmで雄花序の下に3-6個ずつつく。
オオバヤシャブシとヤシャブシの雑種がみられ、アイノコヤシャブシという。
花期:2-4月
分布:本(福島県~紀伊半島の太平洋側)・伊豆諸島
撮影:2018.3.15 横浜市金沢区
オオバヤシャブシ-2
枝先に葉芽、その下に雌花序、雄花序の順につくのが特徴。 2018.3.15 横浜市金沢区

オオバヤシャブシの雌花序
雌花序は柄がある。 2018.3.15 横浜市金沢区

オオバヤシャブシの葉
葉は互生し、濃緑色で光沢がある。 2009.7.25 青森県三沢市

オオバヤシャブシの葉-2
側脈は11-16対が平行し、直線的に縁に伸びる。縁に鋭い重鋸歯があり、基部は左右非相称。 2022.6.1 神奈川県横須賀市

オオバヤシャブシの未熟な果穂
若い果穂。 2017.6.5 神奈川県横須賀市

オオバヤシャブシの果穂
果実は秋に熟すが、果穂は翌年の花期にまだついている。 2018.3.15 横浜市金沢区

オオバヤシャブシの樹皮
樹皮は初め平滑で円い皮目がある。 2019.3.14 横浜市金沢区

オオバヤシャブシの樹皮-2
樹皮は古くなると縦横に割れ目が入り剥がれ落ちる。 2017.4.5 神奈川県鎌倉市


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