オニシバリ

オニシバリ(ジンチョウゲ科)[鬼縛り]

名は、樹皮が丈夫で鬼でも縛っておけるほどだということからついたもの。夏に落葉するので別名ナツボウズ(夏坊主)という。

やや乾燥した落葉樹林下に生え、不規則に分枝して高さ1mほどになる雌性両全性異株の落葉小低木。樹皮は灰褐色で強靱。
秋に葉が伸び出して越冬し翌年の夏に落葉し、果期には大方の葉は落ちている。枝先に集まって互生し、長さ5-12cm、幅1-3cmの狭倒披針形で先はやや鈍く、側脈は7-9対で質は薄く軟らかい。両面とも無毛。葉柄はないかあってもごく短い。
葉腋にジンチョウゲに似た小さな花を数個束生する。花弁はなく、萼は花弁状で黄緑色、肉質で硬く、萼筒は長さ6-8mm、先は4裂する。裂片の長さは萼筒の半長。雄しべは8個で萼筒の内側に4個ずつ上下2段につく。
雌株と両性株があり、夏に実をつけるのは雌株で、両性株(機能的にはほぼ雄株)は結実率が極めて低く、自家受粉も困難。上の画像は両性花。雌花(下の画像)は両性花よりやや小さく、葯も小さく花粉はないので、ポリネーターによって別株の両性花の花粉を受けて受精することになる。花は全く目立たないので気をつけていないと見逃して通り過ぎる。
果実は長さ7-9mmの楕円形、液果状の核果で5-7月に鮮やかな赤色に熟し、メゼリンを含み辛く有毒。核は種子を1個入れる。

樹皮の繊維は強じんで切れにくいので結束用にするほか、和紙の原料に混ぜ強度を高めるのに用いる。樹皮を日干ししたものを白瑞香皮(びゃくずいこうひ)といって、煎液を膿の吸い出しや円形脱毛症に用いる。全体にメゼリンを含み有毒で、汁が皮膚につくと皮膚炎、飲食すると胃腸がただれる。
ナニワズは北海道~北陸地方に分布し、花は鮮やかな黄色で萼片は萼筒と同長。葉の先は円い。チョウセンナニワズは、関東地方以西の石灰岩地にまれに生え、夏に落葉せずに冬に落葉する。
花期:2-4月
分布:本(福島県以南)・四・九
撮影:2018.2.27 横浜市栄区
オニシバリ(両性花)
両性花。雄しべは8個で4個ずつ上下2段につく。 2017.2.21 神奈川県横須賀市

オニシバリ(雌花)
雌花。退化した葯が見える。 2017.2.21 神奈川県横須賀市

オニシバリの果実
葉を落としながら果実は鮮やかな赤に熟す。 2019.6.25 横浜市戸塚区

オニシバリの果実-2
果実は美しいが有毒。 2017.6.2 横浜市栄区

オニシバリの葉
葉は秋に伸びて越冬する。 2021.2.8 横浜市金沢区

オニシバリの樹皮
樹皮は灰褐色。繊維が強靱で切れにくい。 2021.11.19 横浜市栄区

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