オモダカ

オモダカ(オモダカ科)[面高・沢瀉]

名の由来は、定説では葉の形が人の顔に見え、それが高い位置にあることによるという。異説としては、「表高」の意であり、葉が水面より上に出ることからというものがある。別名ハナグワイという。

水田や休耕田、浅い沼などに生え、花茎は高さ20-80cmになる抽水性の多年草。種子繁殖のほか、秋に短い直立茎から地中に走出枝を出し、先端に直径0.5-1cmの長楕円状球形の球茎をつくって殖える。
葉は根生し、幼葉や沈水葉は無柄で線形、上部の幅がやや太くなる。成葉は長い柄があって直立して水面より上に出て、基部が2つに裂けた矢じり形。頂裂片は長さ7-14cmの披針形~卵形、先は鋭尖形だが微突端。下の2個の側裂片は頂裂片より長く、長さ10-20cmの線形~長楕円状披針形で先は先端は細く長く糸状にとがる。裂片の幅は変異が大きい。
雌雄同株で、葉より低い総状花序にふつう3個ずつ直径1.5-2cmの白い花を輪生し、ときに複輪生となり、花序内の分枝の基部に小さい苞がある。花序の先端に雄花を、下の方に雌花をつけ、同花受粉を避けるために下の雌花が先に咲く。花は一日花で、朝に開いて夕方にはしぼむ。花柄は雄花で長さ2-2.5cm、雌花で0.5-1.5cm。萼片は3個で緑色、長さ4-5mmの卵形で鈍頭、反り返り果時にも残る。花弁は白色で3個、長さ0.8-1.2cmの円形で縁が波打つ。雄花には多数の雄しべがあり、花糸は線形で葯は黄色、中心に退化した多数の雌しべがある。雌花には多数の扁平な雌しべがあり、花柱は短く曲がる。
果実は長さ3-5mmの扁平な広倒卵形の痩果で、広い翼がある。中の種子は1個。痩果はキンポウゲ科に似て多数集合して球形となる。

薬用には球茎を陰干ししたものを浮腫、脚気、暑気あたりなどに用いる。葉や花の形が面白いので、紋所として多くのバリエーションがある。
大阪府吹田市の名産でやや球茎が大きいものをスイタクワイという。食用として栽培され、おせち料理に欠かせないクワイ(慈姑)は改良されたものであり、球茎がオモダカの2-3倍も大きい。
葉身の幅が細い品種をホソバオモダカというが、種内変異であるとして特に分けない考え方もある。
よく似たアギナシは走出枝を出さず、花序はふつう葉より高くなる。葉柄の基部の内側に多数の小さな球芽をつけることがよい区別点となる。葉身の幅では区別できないが、側裂片の先はとがらない。
花期:7-10月
分布:日本全土
撮影:2000.8.27 青森県八戸市
オモダカの花
花弁は3個。 2016.8.25 横浜市戸塚区

オモダカの葉
葉の裂片の幅は変異が大きい。下の2個の側裂片の先は先端は細くとがる。 2021.7.29 横浜市戸塚区

オモダカの果実
痩果が多数集まって球形になる。 2019.9.26 横浜市戸塚区

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