ニガイチゴ

ニガイチゴ(バラ科)[苦苺]

果実は甘いが、小核をかじると苦いのでこの名がある。別名ゴガツイチゴ(五月苺)という。別名は早いものは5月下旬に果実をつけるからと思われる。裸地にいち早く進出してくる先駆植物。北海道にはなく、北限は青森県となる。

山野の日当たりのよい林縁や荒れ地に生える落葉低木で、茎は直立してよく開出した枝を出し、高さ30-90cmになる。枝は無毛、紫褐色で粉白を帯び、花をつける枝に細い刺が多い。根茎は長く横走し、ところどころで新苗をつくる。
葉は互生し、花をつけない枝の葉は大きく、長さ6-10cm、花をつける枝の葉は小さく、葉柄を含めて長さ2-5cm、葉身は広卵形で基部は切形~やや心形、縁に重鋸歯があり先は鈍くしばしば浅く3裂する。両面無毛で表面はやや光沢があり、裏面は粉白色を帯びる。葉柄は長さ1-5cm、無毛で赤みを帯び、葉裏脈上とともに小さな刺がある。葉柄基部につく托葉は長さ3-6mmの線形。
前年枝(2年目)の冬芽から伸びた短枝の先に1個、まれに2個上向きに直径2-2.5cmの白色の花をつける。萼筒は無毛で半球形。萼片は5個で長さ4-6mmの卵状披針形~披針形で先は鋭くとがる。縁にときに小腺毛があり、縁と内面に密に白毛が生える。花弁は細長く縁が波打ち、長さ1-1.2cmの狭楕円形で平開する。内面基部に少し毛がある。花柄は細く無毛で長さ1.5-2.5cm、ときに小さな刺がある。雄しべは多数で花糸は無毛。雌しべも多数。子房上部と花柱の基部にやや密に毛がある。花柱は長さ約1mm。
果実は小核果が集まった直径1cmほどの球形の集合果(キイチゴ状果)で、6-7月に赤熟し甘い。核は苦みがあり、長さ1-1.5mmで網目模様がある。

ニガイチゴとカジイチゴの雑種と推定されているものにヒメカジイチゴがあり、関東地方南西部と高知県に分布する。両方の中間的な形質をもつが、どちらに近いかは個体差がある。
ミヤマニガイチゴはニガイチゴより花弁の幅が広く、葉は長卵形で葉先がとがり、ふつう3深裂する。
花期:4-5月
分布:本・四・九
撮影:2008.4.28 山梨県都留市
ニガイチゴの花
花弁は細い。花がつく枝の葉は小さく、裂けないものが多い。鋸歯も低い。 2013.5.12 仙台市太白区

ニガイチゴ-2
赤い葉柄や花柄がよく目立つ。 2019.4.18 相模原市緑区

ニガイチゴの果実
果実は小核果が集まった球形の集合果(キイチゴ状果)。 2023.5.25 東京都八王子市

ニガイチゴの葉
葉は3裂したり、しなかったり。 2021.4.8 東京都八王子市

ニガイチゴの葉-2
3裂して裂片がとがるもの。 2008.4.28 山梨県都留市

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