ムラサキカタバミ

ムラサキカタバミ(カタバミ科)[紫傍喰]

名は花の色からついたもの。別名キキョウカタバミという。

南アメリカ原産の多年草で、江戸時代末期(文久年間=1861年~1864年)に観賞用に持ち込まれたものが、庭先や畑、空き地などで野生化している。
地下に褐色の鱗片に包まれた鱗茎があり、その周りに多数の小鱗茎が群がってつく。日本では種子はできないが、小鱗茎が散らばって爆発的に殖えるので駆除が難しい。毎年、古い鱗茎の上に新しい鱗茎ができるので、そのままだと地上に出てしまう。そんな事態を防ぐための巧妙な仕組みとして、親鱗茎の直下の根がいったん太り、それが収縮して地中に鱗茎を引き下げる牽引根をもつ。
葉は全て根生し、3小葉からなり葉柄は長さ5-25cm。小葉は在来のカタバミよりずっと大きく、長さ幅とも2-6cmの倒心形、表面は無毛で裏面は葉柄や花柄とともにまばらに毛があり、特に葉縁近くに黄橙色の細点がある。就眠運動を行い、夜は小葉を閉じる。
葉より高い20-30cmになる花茎を出し、先端の散形花序に数個の花をつける。小花柄は長さ1-3cm。花は淡桃色で直径1.5-2cm。萼片は5個、長さ約5mmの長楕円形でほぼ無毛、先に2個の黄橙色の小斑点がある。花弁は長卵形で5個、やや濃色の脈があり、花の中心部は淡黄緑色。雄しべは5個ずつ2輪の10個で長短がある。花糸は有毛、葯は白色で花粉はできない。子房は5室、雌しべは1個で花柱は5個あって外側に曲がる。
果実は円柱形の蒴果だが、日本やヨーロッパでは結実しない。

帰化カタバミ類には似たものが多く、イモカタバミは、花の中心部が濃紅紫色で葯は黄色、イモ状の塊茎がある。ハナカタバミは全体が大型で、葉柄や花茎に微毛が密生する。ベニカタバミは葉の表面に光沢がある。
花期:3-7月・暖地ではほぼ1年中
分布:帰化植物
撮影:2006.11.22 東京都羽村市
ムラサキカタバミの花
雄しべは5個ずつ2輪の10個で長短がある。葯は白色。 2015.4.22 横浜市中区

ムラサキカタバミの鱗茎と牽引根
肥大した牽引根とその上に群がる小鱗茎(木子)。 2020.6.2 横浜市南区

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