ミヤマクロユリ

ミヤマクロユリ(ユリ科)[深山黒百合]

名は、高山に生えてユリに似て遠目に黒っぽく見えることからついたもの。

亜高山帯~高山帯の明るい草地に生え、高さ10-20cmになる多年草。両性花と雄花がつく株と雄花だけの株がある。花には悪臭がある。
鱗茎は直径1.5-3cmの球形で、多数の鱗片からなり、鱗片に関節がある。
根生葉はなく、茎葉はつやがあって長さ4-10cm、幅1-2.5cmの披針形~長楕円状披針形で、茎の上半部で3-5個ずつ2-3段に輪生する。
茎頂に直径2-3cmほどの鐘形、暗紫褐色~紫黒色で黄色の細かい斑点がある花を1-2個斜め下向きにつける。花被片は6個で長さ2.5-3cmの長楕円形で基部に腺体がある。雄しべは6個あり花被片の半長、花柱は基部から3裂し先は外側に曲がる。
果実は3稜がある倒卵形の蒴果で上向きにつく。

初めて山で見た人は感激するが、個体数が多く珍しいものではない。石川県の県花に指定されている。花色が特に黄色の強いものをキバナクロユリという。
ミヤマクロユリは2倍体なので結実するが、北海道の平地に生える基本種のエゾクロユリ(狭義のクロユリ)は3倍体で結実せず、より黒っぽい花を3-7個つけ、丈も50cmを超えるものもある。ミヤマクロユリとエゾクロユリを特に区別せずクロユリ(広義)として扱う見解もある。
「クロユリは恋の花」と言っても若い人には分かるまいが、ある年齢以上の人は、「ああ、あの歌ね」とピンとくる。「愛する人に捧げれば 二人はいつか結びつく」という1番の歌詞に魅せられて高山を目指した方々も多かったろう。そして憧れのクロユリと巡り会い、2番の歌詞「花の香りが染みついて 結んだ二人は離れない」を思い出し、そっと鼻を近づけて匂いを嗅いでみると…。ぎょっとした人も多かったろう。それは匂いではなく臭い(悪臭)なのだから。
花期:6-8月
分布:北・本(中部地方以北)
撮影:1998.7.22 岐阜県上宝村
ミヤマクロユリ-2
荒川三山のものは北アルプスで見たものより葉が細かった。 2004.7.17 静岡市葵区


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