ミツマタ

ミツマタ(ジンチョウゲ科)[三椏・三叉]

新枝が3つに分岐するのでこの名がある。
ジンチョウゲ科の木は樹皮の繊維が長く強靱なものが多く、本種もコウゾやガンピとともに、和紙の原料としてかつては山間で盛んに栽培された。特に紙幣用紙に重宝されたが、近年は急激に栽培面積が減ってしまった。シカの不嗜好性植物であることで、スギやヒノキの林床を幻想的に埋める風景が、神奈川県では早春の一時期限定で見られる。また、各地の庭園、公園で観賞用として普通に植えられている。

中国中西部原産で、室町時代頃にカジノキやコウゾなどとともに渡来したと考えられている高さ1-2mになる落葉低木。樹皮は黄褐色で縦の筋が入り、枝はやや太く、三叉分岐を繰り返して半球形の樹形をつくる。若枝は伏毛がある。
葉は枝の上部に集まって互生し、長さ5-20cm、幅2-5cmの狭長楕円形~披針形で全縁、先はとがり基部は長いくさび形で柄に続く。質は薄くしっとりとしたつやがあり、表面はまばらに、裏面はやや密生して伏毛が生え灰白緑色。葉柄は長さ0.5-1cmで白っぽい。
葉の展開に先立って、前年枝の上方の腋から、30-50個の花が集まった密な半球形の頭状花序を曲がった柄の先につける。総苞片は楕円形で絹毛があり、冬の間に落ちる。花弁はなく、萼は長さ0.8-1.5cmの筒形で先は4裂し、裂片は長さ約5mmで鈍頭、内面は鮮黄色で無毛、外面は長い白毛が密生する。雄しべは8個で萼筒内に2列につき、うち上部の4個は喉部から半ば突き出る。葯は長楕円形で花糸は短い。子房は上部に絹毛があり、柱頭は線形に伸びて棍棒状。花は芳香がある。
果実は毛で被われた核果で、宿存した萼筒に包まれる。核は長さ4-5mmの紡錘形で、種子は1個。

アカバナミツマタは花が赤い園芸品種。
花期:2-4月
分布:帰化植物
撮影:2021.4.12 神奈川県厚木市
ミツマタ-2
伸び始めた葉芽。若い枝には伏毛がある。 2021.3.25 神奈川県厚木市

ミツマタ-3
枝は3分岐する。 2021.3.25 神奈川県厚木市

ミツマタ-4
萼筒外面は長い白毛が密生する。 2021.4.12 神奈川県厚木市

ミツマタ-5
雄しべは8個でうち4個が外から見える。 2021.4.12 神奈川県厚木市

ミツマタの葉
葉は枝の上部に集まって互生する。 2022.6.3 神奈川県鎌倉市

ミツマタの葉-2
葉はしっとりとしたつやがある。 2021.4.12 神奈川県厚木市


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