クチナシグサ

クチナシグサ(ハマウツボ科)[梔子草]

萼に包まれた果実の形が、クチナシの果実に似ていることからこの名がある。春の芽出しの若葉が赤色で目立つことから別名カガリビソウという。従来の分類はゴマノハグサ科であったが、APG分類でハマウツボ科に移された。

丘陵地の明るい乾いた落葉樹林内に生える越年草で、スゲ類などに寄生する半寄生植物。茎は軟毛が散生して細く、根際で分枝して地をはうか斜上し、長さ15-60cmになる。
葉は対生し、下部のものは小さな鱗片状で上部のものほど大きくなる。上部の葉は無柄、長さ2-3.5cm、幅2-3mmの線形~線状へら形で全縁、先はとがり両面に毛がある。
上部の葉腋ごとに長さ1cmほどで白色に近い淡紅紫色の花を1個ずつつける。花柄は長さ2-8mm。萼は筒部に縦に走る4稜があり、4深裂する。花期で長さ0.8-1.5cm、果期には肥大して2-2.5cmになる。裂片は線形で筒部より長い。萼の基部に長さ0.7-1.5cmの小苞が2個ある。花冠は長さ1-1.3cmの筒形で先は2唇形。軟毛を散生し、上唇はややかぶと状で2裂し、下唇は3裂して喉部に黄色の隆起した斑紋がある。雄しべは4個で、下の2個はやや長く、花糸は無毛。子房は2室で花柱は細長い。
果実は長さ8-9mmの片側がとがった卵形の蒴果で、肥大した萼に包まれ、熟すと2裂する。種子は長さ約1mmの広楕円形で多数。

熊本県の天草島のみに生える同属のウスユキクチナシグサは、全体に白色の綿毛が密に生え、花冠は大きく長さ2-2.5cm。
花期:4-5月
分布:本(福島県以南)・四・九
撮影:2022.4.21 東京都八王子市
クチナシグサの茎
茎は地をはうか斜上して伸びる。 2022.4.21 東京都八王子市

クチナシグサの茎-2
茎は細く、軟毛が散生する。 2022.4.21 東京都八王子市

クチナシグサの萼
萼は4裂し、裂片は筒部より長く、下に接して2個の小苞がある。 2022.4.21 東京都八王子市

クチナシグサの花
花は淡紅紫色。先は2唇形で下唇喉部に黄色の斑紋がある。 2022.4.21 東京都八王子市

クチナシグサの花-2
花冠は筒形で軟毛が散生する。 2022.4.21 東京都八王子市

クチナシグサの葉
上部の葉は線形~線状へら形で対生する。両面に毛がある。 2022.4.21 東京都八王子市


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