クサノオウ

クサノオウ(ケシ科)[草黄・草王・瘡王]

葉や茎を折ると橙黄色の汁が出てくるのが特徴で、名もそこから「草の黄」とついたというが、皮膚病に効くので「瘡(くさ)の王」、薬草の王様なので「草の王」だという説もあり、どれが本当かは分からないし、どれも当たっていないかもしれない。

人家に近い日当たりのよい野原や道端、林縁などに生える越年草で、茎は中空で高さ30-80cmになる。全体に軟らかく、縮毛が多く白っぽく見える。
葉は互生し、長さ7-15cm、幅5-10cmのキクの葉状で1-2回不規則に切れ込み、裂片の先は鈍い。表面は緑色、裏面は灰白色で細毛がある。
葉腋から散形花序を出し、直径2-2.5cmの鮮黄色の花を4-10個つける。花弁は4個で長さ1-1.2cm。萼片は2個あり長さ6-8mmで毛が多く、開花直前に落ちる。雄しべは多数、花柱の柱頭は浅く2裂する。
果実は長さ3-5cmの細長い円柱形の蒴果で直立する。種子は光沢があり、周りにエライオソームがつく。アリが好むエライオソームによって、種子は巣穴に運ばれ、エライオソームを食べた後、種子本体のみ外に捨てられる。

橙黄色の汁はケリドニウムアルカロイドを含むので、鎮静作用と知覚末梢神経を麻痺させる作用があり、民間薬として皮膚病や虫刺されに直接塗布して用いたというが、かぶれることもあるので素人療法は禁物。また、茎葉を日干ししたものを白屈菜(はっくつさい)とよんで鎮痛に用いた。尾崎紅葉が胃がんの鎮痛に使った話は有名だが、がんを直す力はない。
近似種のヤマブキソウは樹林下に生える花が大きい多年草。
花期:4-7月
分布:北・本・四・九
撮影:2004.5.7 栃木県足利市
クサノオウの花
花弁は4個、雄しべは多数。 2016.3.25 神奈川県横須賀市

クサノオウの花-2
萼片は2個あって白毛が多く、開花直前に落ちる。 2019.3.28 神奈川県三浦市

クサノオウの茎
茎にも白毛が密生する。 2022.4.7 神奈川県茅ヶ崎市

クサノオウの果実
果実は直立する。 2017.5.24 神奈川県横須賀市

クサノオウの葉
葉はキクの葉状に切れ込み、裂片の先は円い。 2019.3.28 神奈川県三浦市

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