クマツヅラ

クマツヅラ(クマツヅラ科)[熊葛]

名は長い花序を馬の鞭(ムチ)にたとえ、ウマウツツラ(馬打葛)といったことの転訛。漢名も馬鞭草(ばべんそう)という。クマツヅラ属(Verbena)は南北アメリカに多く、園芸品種として多くの種が栽培されている。

山野の荒れ地や道端に生える多年草で高さ30-80cmになる。茎は硬く、断面は4角形で上部で何本も分枝して全体に細毛があってざらつく。
葉は対生し、長さ3-10cm、幅2-5cmの卵形で下部はヨモギに似てふつう3裂し、上部では羽状に中~深裂し縁に鋸歯がある。表面はしわ状に脈がくぼむ。
枝先に長さ20-30cmになる細長い穂状花序を出し、小さな花を多数下から咲き上げる。花序の軸や額には腺毛が生える。萼は長さ約2mmの筒状で5脈があり先は5裂する。花冠は淡紫色~淡紅紫色~ほぼ白色で直径約4mm、花筒は長く上部で少し曲がり、先は5裂して平開する。雄しべは短く、花筒の中にあり4個でうち2個が長い。子房は4室で各室に1胚珠がある。
果実は4分果で萼に包まれる。分果は長さ約1.5mmの楕円形。背面に少数の縦筋がある。

漢方では馬鞭草といって、茎葉を日干ししたものを煎服して通経や月経痛に用いるが、ベルベナリン、ベルベニンを含み、連用すると食欲不振の副作用が出るといわれているので素人療法は難しい。腫れ物には煎汁を塗布する。
花期:6-9月(暖地ではほぼ通年)
分布:本・四・九・沖
撮影:2017.8.28 横浜市緑区
クマツヅラの花
花軸や萼に腺毛が生える。花冠はやや唇形。 2017.8.28 横浜市緑区

叢生するクマツヅラ
叢生して上部で細い枝を分ける。 2017.8.28 横浜市緑区

クマツヅラの果実
果実は萼に包まれる。 2017.8.28 横浜市緑区


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