コウリンタンポポ

コウリンタンポポ(キク科)[紅輪蒲公英]

名は、紅色の舌状花が輪のように並んでいることからついたもの。舌状花が直立している様子が絵筆に見えることから別名エフデタンポポエフデギクという。
ヤナギタンポポに近いものでかつてはヤナギタンポポ属に含められていたが、現在では独立したコウリンタンポポ属とされる。群生している姿は確かに人を引きつける美しさがある。しかし、何か日本の風景にはそぐわない感じがするのは、鮮烈すぎる花の色によるものだろうか。
ヨーロッパ中北部原産の多年生の帰化植物で、明治時代中期に観賞用に持ち込まれたものが野に逃げ出し、現在では全国の牧場や原野、市街地にも広がる雑草となっている。生態系被害防止外来種で北海道や東北地方など、寒冷な地方ではとりわけ勢いがよい。北海道のものは、戦後に樺太からの引き揚げ者が持ち込んだという説があるが、確かなことは分からない。

茎はロゼットの中心から直立して高さ10-50cmになる。根際から地表に多数の匐枝を伸ばして殖え、群落となる。茎の全面に長さ1-3mmの開出する剛毛と小さな星状毛があり、上部では有柄の星状毛と短い腺毛が混生する。
根生葉はロゼット状で束生し、長さ6-20cm、幅1.2-3.5cmの長楕円状披針形~線状披針形、鈍頭で基部はくさび形、両面に長い剛毛を密生する。茎葉はないか、または小さな葉が1-2個つく。匐枝につく葉は小さい。
花茎の先に橙赤色で直径1.5-2.5cmの頭花が複散房状に10個ほどつく。頭花は舌状花のみからなり、花冠は橙赤色だがしぼむと暗赤色になる。花冠の先は深い5歯がある。総苞は長さ0.5-1cm、総苞片は膜質で1列に並び、中肋に黒色の長毛を密生し短い腺毛、星状毛が混じる。
痩果は赤褐色の円柱形で10脈があり、冠毛は汚白色の毛状。
花期:6-8月
分布:帰化植物
撮影:2003.6.21 青森市
コウリンタンポポ-2
根際から匐枝を伸ばして群生する。 2003.6.21 青森市

コウリンタンポポの頭花
総苞には黒色の長毛が生える。 2003.6.21 青森市


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