コウホネ

コウホネ(スイレン科)[河骨・川骨]

水底の泥の中を横にはう根茎が白くて太く、黒っぽい葉柄痕と花柄痕が点在し、それが背骨のように見えるのでこの名がある。

浅い池や沼などに生える多年生の水草で、根茎は太くて白い海綿質で泥中を横にはう。葉痕と花柄痕が目立つ。
葉は根生し、水中に生える沈水葉と水面より高く伸びる抽水葉がある。水位の高いときには水面に浮かび浮水葉状態のときもある。抽水葉は厚くて光沢があり、長さ20-30cm、幅7-12cmの長卵形~長楕円形で全縁、先は鈍頭、基部は矢じり形にへこむ。表面は無毛で裏面は若いときに少し毛がある。葉柄は長く、中実。沈水葉は細長く膜質で、葉縁は波状になる。葉柄は短い。
花柄は円柱形で根生し、水上に抜き出て1個の椀状の花を上向きにつける。花は直径4-5cm、花弁のように黄色く目立つのは萼片で、花後緑色が強くなる。萼片は5個、長さ2.5cmの倒卵形で外面はしばしば緑色を帯びる。本物の花弁は雄しべの変形したもので長さ約8mmの長方形、黄色で多数あるが目立たない。雄しべは多数、花糸は幅広く、葯は内向きにつくが、開花すると雄しべが外に反って曲がり葯が現れる。花糸と葯はほぼ同長。雌しべは独特で上部は円形に広がり、縁は多少反曲して直径6-8mmの柱頭盤となり、柱頭は線状でその上に放射状に並ぶ。
果実は液果状で水中で熟し、崩れて多数の種子を出す。種子に種衣はない。

漢方では川骨(せんこつ)といって、根茎を縦割りにして日干ししたものを婦人病や打撲に用いる。 昔は飢饉のときに根茎を食用にした。
花が橙赤色のものをベニコウホネという。ヒメコウホネは抽水葉は水面に浮いて小さく、長さ6-10cmの広卵形。ネムロコウホネ(エゾコウホネ)は抽水葉は水面に浮き、花は直径約2.5cm、柱頭盤は黄色。ネムロコウホネの柱頭盤が紅色のものをオゼコウホネといい、北海道(空知・宗谷)と本州(月山・尾瀬)に産する。オゼコウホネの果実が暗紅色のものをウリュウコウホネといい、北海道雨竜沼に産する。
花期:6-9月
分布:北(西部)・本・四・九
撮影:2003.6.22 青森県木造町
コウホネの花
花の中心に柱頭盤、細長いのが雄しべ、その外側にへら状の花弁があり、全てを花弁状の萼片が囲む。 2021.5.12 東京都八王子市

コウホネ-2
抽水葉は水面から突き出るが、水量によっては水面に浮かんでいるときがある。 2010.6.19 青森県三沢市

コウホネの葉
抽水葉は厚くて光沢があり、先は鈍形で基部は矢じり形にへこむ。 2021.5.12 東京都八王子市


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