コツマトリソウ

コツマトリソウ(サクラソウ科)[小褄取草・小端取草]

ツマトリソウより全体に小型で葉の先がとがらず、円くなるものをいう。主に亜高山帯の湿地に生えるが、どちらともいえないようなものも多く、ツマトリソウと区別しないこともある(YListではシノニムとしている)。ツマトリソウは乾いた登山道沿いに生えるが、コツマトリソウは湿地に生え、生育環境は明らかに異なる。
ツマトリの名は、葉の色が葉先に近づくにつれてぼかしたように濃くなることを着物の褄取りにたとえたとも、葉の縁に平行に走る細脈を褄取りにたとえたとも、また花の裂片の先がやや赤みを差すことをたとえたともいわれる。ただ、花の裂片の先が赤くつまどられているものはまれにしか見ることはない。

山地帯上部~亜高山帯の湿地に生える無毛の多年草で、茎は分枝せずに直立し、高さ5-20cmになる。ツマトリソウよりやや小さい。根茎は白色の糸状で長く地中をはう。
葉は茎の上部に5-10個がやや輪生状に互生し、質が薄い長さ2-7cmの倒卵形で全縁、先はとがらず基部はくさび形。茎の下部にいくにしたがって葉が小さくなる。
上部の葉腋から長さ2-3cmの細い花柄をふつう1個ときに2個出し、上向きに直径1.5-2cmの白色の花を1個ずつつける。花冠は7深裂し、先はときに鈍形。雄しべと萼片も同数ある。7の数の花は非常に珍しい。花冠の裂片は長楕円形で先はとがり、やや重なりあう。先端の縁にまれに微紅色のつまどりがある。
果実は直径2.5-3mmの球形の蒴果で、熟すと縦に裂け種子を飛ばす。
花期:6-7月
分布:北・本(中部地方以北)
撮影:2001.6.30 青森市
コツマトリソウ-2
花冠裂片の先も円いもの。 2013.7.7 秋田県東成瀬村

コツマトリソウ-3
湿地に群生する。 2006.6.17 岩手県八幡平市

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