コアニチドリ

コアニチドリ(ラン科)[小阿仁千鳥]

名は、大正8年(1919年)に秋田県上小阿仁村の小阿仁川で発見されたことに由来する。命名は牧野富太郎で、種小名のkinoshitaeは発見者の木下友三郎氏への献名。希少な植物であり、環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)。上小阿仁村ではこの花を村の花に指定しているが、増殖した鉢植えが道の駅などで販売されている。

日本海側の多雪地に分布する多年草で、高層湿原やいつも水が染み出ているような岩壁に生えるラン。地下に狭長楕円形に肥厚した根と数本の細根がある。茎は塊根から出て細く、直立して高さ10-20cm。
葉は無毛で、茎の中ほどより下にふつう1個、ときに2個つき、長さ4-8cm、幅4-8mmの線状披針形で先はとがり基部は茎を抱く。
茎頂に直径5-6mmで淡紅紫色~白色の花を1-5個総状につける。苞は広披針形で長さ3-8mm。背萼片は長さ3-4mmの楕円形で鈍頭、側萼片は背萼片と同長の斜卵形で鈍頭。側花弁は広卵形で背萼片より少し短い。唇弁は長さ0.8-1cmで大きく、3深裂して中裂片はさじ状くさび形で長く、先は少しへこむ。表面の基部に紅紫色の斑紋が2列に並ぶ。距は白色で短く、後方に伸び、長さ1-1.5mm。蕊柱は短く、葯は淡紅紫色で無柄。花粉塊は灰色。花後に花序の先端に1-10個のむかごができ、それが落下して殖える。

同属のヒナランは花の直径mmほどで一方に偏って10-15個つく。イワチドリは西日本に分布し、唇弁の中裂片はさらに2裂する。
花期:6-8月
分布:北・本(中部地方以北)
撮影:2019.6.21 新潟県十日町市
コアニチドリ-2
唇弁の中裂片が大きく、基部に紅紫色の斑紋が2列に並ぶ。 2019.6.21 新潟県十日町市

コアニチドリ-3
総状に小さな花を1-5個つける。 2019.6.21 新潟県十日町市


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。