キショウブ

キショウブ(アヤメ科)[黄菖蒲]

花が黄色なのでこの名があるが、ショウブはショウブ科(旧分類ではサトイモ科)の植物で混同されたまま使われているもの。

西アジア~ヨーロッパ原産で、明治時代の中頃に園芸植物として移入された多年草。繁殖力が旺盛なので、全国の人里近くの肥沃な泥質の湿地、水田の水路、池畔などに群生している。肥沃であれば畑などの乾いたところでも育つ。斑入り葉、八重咲きなどの園芸種がある。生態系被害防止外来種(重点対策外来種)指定。日本生態学会が定めた「日本の侵略的外来種ワースト100」にも選ばれている。
根茎は横走して分枝し、よく発達して大きな株をつくる。花茎は上部で短く分枝して葉よりやや高くなり、枝先に鮮黄色で直径7-10cmの花を1-2個つける。アヤメの仲間ではほかに黄色の花をつけるものがないので、一目でそれと分かる。
葉は濃緑色で無毛、基部は抱き合って2列に並び、長さ0.6-1m、幅2-3cmの剣状線形で先はとがり、両面に隆起した中脈は太く明瞭。
花は2個の大きな舟形の苞に抱かれる。外花被片3個は大型の広卵形で先は円くて垂れ、基部は急に狭くなり褐紫色の条線がある。内花被片3個はごく小型の長楕円形で直立する。子房は下位、花柱は長さ1cmほどの筒形の基部から急に3分岐し、裂片は淡黄色の花弁状で裂片の先はさらに2裂しその縁に歯牙がある。雄しべは3個で花柱分岐の下側に沿って隠れるようにつく。葯は線形で褐紫色。
果実は長さ6-7cmの3角柱状楕円形の蒴果で、熟すと3裂して褐色で半球状の種子を多数出す。
花期:5-7月
分布:帰化植物
撮影:2010.5.22 東京都国分寺市
キショウブの花
内花被片はごく小さい。3裂した花柱分岐は花弁状。 2016.5.19 神奈川県横須賀市

キショウブの葉
葉の幅は広く、中脈は明瞭。 2009.5.5 東京都港区

群生するキショウブ
横に伸びる根茎で殖える。 2019.5.13 横浜市金沢区


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