キランソウ

キランソウ(シソ科)[金瘡小草]

古くから漢字で「金瘡小草」の字が当てられているが意味は不明。キランソウの名は、濃い青紫の花の色から、紫藍草(しらんそう)が転じたという説があるが、これも定説はない。別名のジゴクノカマノフタは、地面に平らに張りつくように葉を広げることによるもの。

人里の日当たりのよい道端の石垣や崩れた斜面などに生える多年草。自然公園などの斜面に設置された木製階段の蹴上げにべたっと張り付いているのをよく見かける。
茎はシソ科では珍しく断面が4稜形とならず円形~楕円形で、四方に出て地をはって高さ5cmに満たず、長さは5-15cmになり、葉も地面に伏して立ち上がらない。走出枝は出さず、節から出根しない。全体に白色の縮毛がある。
根生葉はロゼット状で長さ4-6cm、幅1-2cmの広倒披針形で縁に波状の鋸歯があり、基部は細まり先は円く、裏面は紫色を帯び全体に粗い毛がある。茎葉は対生し、上部の葉は小さい。
葉腋に濃紫色の唇形花を数個つける。花冠は長さ1cmほどで、上唇は直立し2裂してごく短く、下唇は開出して3裂し、中央裂片が大きく、さらに2浅裂する。萼は鐘形で粗い毛が密生し、先は5裂する。雄しべは4個でうち2個が長い。子房は上位で柱頭は2裂する。
果実は痩果状の4分果。分果は卵球形で背面に隆起した網目模様があり、長さ1.7-2mm。

四国、九州ではイシャコロシなどとよばれ、鎮咳や解熱に効く民間薬として利用される。漢方では筋骨草とよんでいる。
花が淡紅色の品種があり、モモイロキランソウといい、ジュウニヒトエとの自然交雑種をジュウニキランソウという。
花期:3-5月
分布:本・四・九
撮影:2010.3.12 東京都文京区
キランソウ-2
茎は地をはう。 2008.4.28 山梨県都留市

キランソウ-3
全体の高さは5cmに満たない。 2018.4.3 神奈川県茅ヶ崎市

キランソウ-4
花の色が薄いタイプ。 2015.4.6 横浜市中区

キランソウの花冠
全体に縮れた毛があり、萼には粗い毛がある。上唇はごく短く、雄しべより短い。 2018.4.3 神奈川県茅ヶ崎市

キランソウの葉
葉の表面。葉縁に波状の大きな鋸歯がある。 2021.4.6 川崎市多摩区

キランソウの葉-2
葉の裏面。ふつう紫色を帯びるが、あまり目立たないものもある。 2022.4.11 横浜市金沢区

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