キクイモ

キクイモ(キク科)[菊芋]

キクのような花が咲き、地下に大きな塊茎(イモ)ができることからこの名がある。第二次世界大戦中に救荒植物として日本各地で栽培されたこともある。一部逸出して河原や土手などの荒れ地で野生化している。塊茎を食用や飼料にするほか、イヌリンを大量に含むので果糖、アルコール発酵、飴の原料になる。近年では血糖値対策に有効であるとして、産直で販売されたり、サプリメントの原料にされる。

文久年間(1861-64年)に移入された(異説もある)北アメリカ原産の多年草で、上部で分枝して高さ1.5-3mになる。茎に開出または下向きの毛がある。地下の根茎の先が秋に膨れ、こぶの多いショウガに似た塊茎となる。
葉は下部で対生し、中部~上部で互生する。葉は卵状披針形で縁に粗い鋸歯があり、先は鋭くとがり、基部はくさび形で、次第に細まって狭い翼のある葉柄に移行する。基部から目立つ3行脈が出る。表面は深緑色で硬い突起毛があってざらつき、裏面は密に毛があり、無柄の腺点が多い。
枝先に直径6-10cmの頭花を上向きにつける。総苞は半球形で総苞片はふつう3列、長さ1.5cmの披針形で平開~反曲する。全面に細毛や腺点があり、縁にやや長い斜上する毛がある。舌状花は黄色で1列、10-20個、長さ3-5cm、先端は3裂し、基部に2個の刺状の冠毛がある。筒状花は多数。基部が膨れ、外側に毛がある。葯は褐色。
痩果は長さ6-7mmの円筒形で微毛があるが、結実しにくい。

かつてはキクイモとイヌキクイモを区別していたが、日本でイヌキクイモとして報告されているものは、現在ではキクイモの一タイプとされている。観賞用に栽培されるキクイモモドキは地下に塊茎はなく、葉は全て対生。花は梅雨時から咲き始める。
花期:8-10月
分布:帰化植物
撮影:2016.9.12 神奈川県横須賀市
キクイモの頭花
枝先に直径8cmほどの頭花を上向きにつける。 2017.9.8 神奈川県葉山町

キクイモの総苞
総苞片は3列。毛が多く、上半部は反る。 2023.10.18 横浜市南区

キクイモの葉
葉は下部で対生、上中部では互生する。 2023.10.18 横浜市南区


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。