カタクリ

カタクリ(ユリ科)[片栗]

丘陵地や山間の明るい林下などに群生し、高さ10-15cmになる多年草。東日本、特に北日本では普通にあり、足の踏み場のないほど生えているところもあるが、四国や九州ではまれな存在。知らぬ人のない、春先一番人気の野草。別名カタカゴという。
地中深くにある長さ5-6cmで筒状長楕円形の鱗茎から葉と花茎を出す。鱗茎は毎年新しいものが現鱗茎の下につくられ、更新されるので年を経るごとに深く潜る。
葉はやや肉質で軟らかく、長さ6-12cm、幅2.5-6cmの長楕円形~狭卵形。全縁で、淡緑色に暗紫色や白色の斑が入ることが多い。葉柄は長いが地中に埋もれていて葉柄がないように見える。
花をつけない株の葉は1個で、年数が経ち花をつけるようになると葉は2個になる。
2個の葉の間から1本の花茎を伸ばし、頂部に直径4-5cmの淡紅色の花を斜め下向きに1個つける。花被片は6個で長さ4-5cmの披針形、後方に強く反り返る。基部に腺体があり、その上部に濃紫色でW字形の模様が入る。虫に対する蜜標といわれている。雄しべは6個で花被片の半分の長さ、葯は濃紫色、3個は短く、遅れて伸びる3個が長い。雌しべが1個あり、先は3裂している。
花は、晴れて花の表面温度が17~20℃になると全開し、寒い日や夜間は閉じる。
果期には花茎が30cmほどに伸びて倒れ、先から裂開して種子を地面に落とす。果実は長さ1.2-1.5cmで3稜がある円形の蒴果で、種子にはエライオソーム(アリが好む脂肪酸などを含む付属体)がつき、アリに運ばれる。エライオソームをかじり取られた種子でも、表面がアリのサナギの成分に似ているため、アリは種子を運ぶのだという。
現在はジャガイモやサツマイモだが、かつてはこの鱗茎から片栗粉を採取した。鱗茎を集めて突き砕き、木綿布で漉して乾燥させて粉を採った。
鱗茎は地中深く埋まっており、年ごとにだんだんに深いところに潜るので、掘り採るのは難儀であり、種も地面に落ちてから7-8年経たないと花をつけない。
春早い時期に伸びだし花を咲かせ、2か月と持たず地上から姿を消してしまう春のはかない花(スプリング・エフェメラル)の代表であるが、地下では鱗茎が生き続けていて、その寿命は15-30年以上といわれている。
以前、青森県の青荷温泉を泊まったときには、この花の部分を塩漬けにしたものにお湯を注ぎ桜湯ならぬ片栗花湯を客に出していた。
季節になれば、地上部は産直やスーパーに並び、お浸しや天ぷらにして食されるが、あまり売れていない。一度食べたことがあるが、甘みが強く、自分の好みではなかった。見て楽しむ花だと思った。
花が白い品種をシロバナカタクリといい、葯は淡褐色~白色、花糸も白いもので、結構よく見かける。
花期:3-6月
分布:北・本・四・九
撮影:2001.5.4 岩手県滝沢村
カタクリ-2
虫への蜜標となる濃紫色の斑紋がある。 2013.4.21 青森市

カタクリ-3
2009.4.12 岩手県久慈市

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