カラスビシャク

カラスビシャク(サトイモ科)[烏柄杓]

小さい仏炎苞をカラスが使う柄杓に見立ててこの名がある。別名ハンゲという。別名は夏至から11日目(現在では太陽が黄経100度にある日)を暦の上で半夏とよび、その頃から勢いよく生育することによる。

畑や庭の雑草として普通に生え、花茎の高さ20-40cmになる多年草。地中に直径1-2cmの小さな球茎がある。子球や小葉基部と葉柄の中ほどにできるむかごで殖え、根絶の難しい厄介な畑雑草として知られ、史前帰化植物とされることがある。
葉は球茎から1-2個が伸び、長さ10-20cmの柄がある3出複葉。小葉は短い柄があり、長さ3-12cmの長楕円形~狭卵形で先はとがる。若い苗の葉は3小葉にならず単葉になる。
球茎から葉より高く花茎を伸ばし、緑色の仏炎苞に包まれた肉穂花序をつける。仏炎苞は細長く、長さ5-7cmの筒状で最下部は隙間がある。舷部は狭卵形でやや円頭、内側にビロード状の短毛が密生する。花序の先は長さ6-10cmのひも状の付属体が仏炎苞の外に出て直立する。花序の下部は仏炎苞と合着する。花序上部の離生部に雄花群があり、少し離れた下部の合着部の片側に雌花群が並ぶ。花被はなく、雄花は雄しべが2個あり、雄しべは花糸がなく淡黄色の葯が直接つく。雌花は雌しべ1個からなる。
果実は楕円形で緑色の液果で種子1個を含む。

シュウ酸カルシウムを含み、汁液が皮膚につくとかぶれることがある毒草だが、漢方では別名であるハンゲ(半夏)とよび、球茎を吐き気止めに用いる。
仏炎苞が暗紫色の品種があり、ムラサキハンゲという。小葉の先が長く伸びるものをヤマハンゲ、小葉が線形のものをシカハンゲという。
オオハンゲは中部地方西部以西の林下に生え、葉は3深裂し全裂しない。むかごはつくらない。関東地方で見られるものは、本来の自生ではないと考えられている。
花期:5-8月
分布:日本全土
撮影:1999.5.16 青森県八戸市
カラスビシャク-2
2016.5.19 神奈川県横須賀市

オオハンゲに戻る ムラサキオオハンゲに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。