カンアオイ

カンアオイ(ウマノスズクサ科)[寒葵]

葉がフタバアオイの葉に似ていて、冬にも葉が枯れないで花が咲くことからこの名がある。別名カントウカンアオイという。
この仲間は分布速度が著しく遅く、それが各地に固有の種が多数分化している理由となっている。また、この仲間はギフチョウの食草だが、自生地が急速に少なくなっており、ギフチョウも必然的に絶滅の危機にある。

山地の林下に生える常緑の多年草。茎は芳香があって地をはい、暗紫色、多肉で節が多く、細い多肉根を地中に下ろす。
2-3個の鱗片葉と1-3個の普通葉をつける。普通葉は暗紫色の長い柄があり、長さ6-10cm、幅4-7cmの卵形~卵状楕円形~卵状鉾形で先はとがり、基部は深い心形。表面は濃緑色で白斑紋や白脈が入り、まばらに毛がある。裏面は無毛。
花は直径約2cmで暗紫色~淡緑褐色、葉柄の基部に1個半ば地に埋もれるようにつく。単花被花で花弁はなく、萼のみある。萼片は弁化し、下半部は合着して萼筒になる。萼筒は長さ1cmの鐘形で外面は無毛、内側に9-12本の縦の隆起線があり、格子状になる。萼筒の上部はくびれず、萼裂片は3個で開出し、卵状3角形で萼筒よりやや短く、汚黄色で紫斑がある。喉部にはつば状の環がある。雄しべは12個で花糸は葯より短い。花柱は6個、棍棒状で先は2裂しその基部外側に点状の柱頭がある。子房は6室。
果実は液果状の蒴果で熟すとくずれる。種子に多肉のエライオソームがある。

根と根茎を漢方では土細辛(どさいしん)または杜衡とよび、咳止めや鎮痛、利尿に用いる。
花期:10-2月
分布:本(千葉、埼玉、東京都、神奈川、静岡県)
撮影:2017.11.6 神奈川県鎌倉市
カンアオイの花
花が暗紫色のもの。上の写真のように緑色の強いものもある。 2019.4.4 横浜市戸塚区

カンアオイの葉
葉は無地、雲紋のあるもの、脈に沿って淡色部があるものなど多彩。光沢はない。 2017.4.5 神奈川県鎌倉市

カンアオイの葉-2
脈に沿って淡色部分があるもの。 2017.4.20 神奈川県横須賀市

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