イブキゼリモドキ

イブキゼリモドキ(セリ科)[伊吹芹擬]

低山帯~亜高山帯の林縁や日当たりのよい草原に生え、高さ30-90cmになる全株無毛の多年草。茎は細く、あまり枝を分けない。
葉はやや硬く光沢があり、1-3回3出複葉。小葉は卵状披針形~広楕円形でさらに羽状に中~深裂し最終裂片は長さ2-8cmの卵円形~卵形で欠刻状の粗い鋸歯があり、先はとがるが尾状に伸びない。葉柄の基部は赤みを帯びた鞘になる。
茎上部に複散形花序を出し、直径2-3mmで白色の小花をややまばらにつける。花序の総苞片は線形で1-2個、小総苞片も線形で10個ほどある。小散形花序は5-8個で柄は平滑。花弁は5個で基部は急に柄状に細くなる。
果実は長さ3.5-4mmの長楕円形でやや翼状の隆起線が5本ある。

別名ニセイブキゼリコイブキゼリという。よく、「イブキゼリ・モドキ」と解釈して、「イブキゼリ」という植物はないのだから、存在しないものにモドキをつけてよぶのはそもそもおかしいのではないかと言われる。
伊吹山にはよく似た「セリモドキ Dystaenia ibukiensis」は自生するが、別種「イブキゼリモドキ Tilingia holopetala」は自生しない。当初、Tilingia holopetalaは伊吹山にもあるものと思われていて(セリモドキを誤認していたか?)「イブキゼリ」という名が使われていたが、伊吹山に産しないことがだんだん知られるようになってから、これは不適当だからということで、取ってつけたように「モドキ」を名を付加してよぶようになったのだろう。
この「伊吹芹・擬」の解釈では元々はそういう「名前」を使っていたのだから…、ただ現在はないが…」ということになるし、一方「伊吹・芹擬」とする解釈は、「伊吹山にあるセリモドキとは別種の植物」ということになるが、伊吹山には自生していないのでこれも不都合がある。はてどうしたものか、あまり深く考えないほうがいいのかもしれない。

シラネニンジンと似ているが、花がややまばらにつくので見た感じの雰囲気が異なる。
花期:7-9月
分布:北・本(中部地方以北)
撮影:2006.8.5 青森市
イブキゼリモドキの花
花弁の基部は細い柄状となる。 2006.8.5 青森市

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