フウトウカズラ

フウトウカズラ(コショウ科)[風藤葛]

名の「風藤」とは日本には生えていないナントウゴショウの生薬のことで、日本では本種がナントウゴショウと誤認されていたことによる。

暖地の沿海の林内や林縁に普通に生える雌雄異株で常緑のつる性木本で、つるは長さ10m以上に伸びる。コショウ科では最も北に分布し、全体に臭気がある。神奈川県では三浦半島で普通に見られる。枝は緑色で枝を一周する膨らんだ節があり、節から気根を出して崖や木を登る。
葉は互生し、長さ4-12cmの広卵形~狭卵形で全縁、5本の脈があり、基部は円形~心形で先は次第に細まってとがる。質は厚く表面は濃緑色でやや光沢があり、裏面に軟毛が散生する。葉柄は長さ1-4cm。葉をちぎるとコショウに似た香りがある。
葉と対生して長さ3-10cmの穂状花序を下垂し、小さな花をらせん状に密集してつける。苞は1個あり楯状。雄花序は黄色、雌花序は淡黄緑色で雄花序より短い。雄花も雌花も花被がない(裸花)。雄花は3個の雄しべがあり、雌花は子房は1室、雌しべは1個で柱頭は3-5裂する。
果実は直径3-5mmの球形の核果で穂状になり、11-3月に朱赤色に熟す。種子は1個。

葉の裏面に毛のあるものをオオバフウトウカズラといって区別することがある(YListではシノニムとしている)。
花期:4-6月
分布:本(関東地方南部以西)・四・九・沖
撮影:2016.5.12 神奈川県横須賀市
フウトウカズラの雄花序
雄花序。 2017.5.15 神奈川県横須賀市

フウトウカズラの雄花
雄花は3個の雄しべからなり、花被はない。 2017.5.15 神奈川県横須賀市

フウトウカズラの雌花
雌花序は雄花序より短い。雌花の柱頭は3-4個。 2017.5.24 神奈川県横須賀市

フウトウカズラの葉
葉は狭卵形~広卵形で光沢がある。 2017.6.6 神奈川県三浦市

フウトウカズラの果実
果実は晩秋に熟し、越冬する。 2016.3.25 神奈川県横須賀市

フウトウカズラの果実-2
果実は球形でつやがあり、密集してつく。 2016.2.22 神奈川県横須賀市


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