フタリシズカ

フタリシズカ(センリョウ科)[二人静]

能曲「二人静」に、静御前の霊が吉野山に若菜摘みに出た娘に憑いて、二人で同じ衣装を着て義経が都を追われたときの様子を舞う場面があるが、名は2本並んだ花穂をその姿にたとえたもの。

山野の林内に生え、短い根茎から数本の茎が分枝せずに直立し、高さ30-60cmになる多年草。茎は緑色で無毛。
下部の3-4対の葉は退化して小さい広卵形、鱗片状で膜質。上部の2-3対の葉は節間が短く十字対生して大きく、薄くて光沢はなく両面無毛。長さ8-17cm、幅4-8cmの楕円形~卵状楕円形で先はとがり、縁に多数の鋭い鋸歯がある。葉柄は長さ0.5-1.5cm。
穂状花序は茎の先ときに腋につき、花序は長さ3-6cmで2本とは限らず1-6本と幅がある。花弁も萼もなく、花穂に張り付いた米粒のように見えるものは、3個の雄しべが雌しべと葯を包み込んでいるもので、それが1つの花という原始的な形態を残している。雄しべは長さ2-4mmの長楕円形で、白色の花糸は基部で合着し、内側に曲がってこぶし状になって雌しべを包む。中央の1個の雄しべはやや大きく、内面に2個の葯があり、両側の2個には1個ずつ黄色い葯がある。雌しべは長さ約1mm。苞は長さ0.5-1mmの3角状広卵形でとがる。夏から秋にかけて茎の下部の葉腋から短い花序を出し、閉鎖花をつけることがある。
花が終わると花序は横に倒れ、果実が膨らんでくる。果実は淡緑色で長さ約3mmの球形~広卵円形の核果。
夏に茎下部の鱗片葉の腋からしばしば数個の閉鎖花をつけた細い花序をつける。

ヒトリシズカは、1本の花穂を立て、花が咲いてから光沢のある葉を展開する。花期はひと月ほど早い。
花期:4-6月
分布:北・本・四・九
撮影:2004.5.30 岩手県北上市
フタリシズカ-2
花序は2本とは限らない。 2017.5.11 横浜市磯子区

フタリシズカ-3
米粒のように見えるのは雄しべの花糸。葯と雌しべはこの中にある。 2017.5.11 横浜市磯子区

フタリシズカの果実
果実は径3mmほどの核果。核は1個で全体の2/3ほどが半透明の果皮?から頭を出している。 2018.6.19 神奈川県藤沢市

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