ホオノキ

ホオノキ(モクレン科)[朴の木]

名のホオはホウ(包)の意で、大きな葉に食べ物を盛ったことからついた。別名ホオガシワ

寒冷地に多く、丘陵~山地に生える落葉高木で、幹は直立して高さ15-30m、直径1mに達するものがある。樹皮は灰白色で平滑で裂けず、円形の皮目が散生する。冬芽は托葉が合生した1個の鱗片に包まれ、無毛。
葉はやや厚い単葉で枝先に輪生状に集まって互生し、長さ25-45cm、幅10-25cmの倒卵形~倒卵状長楕円形で全縁、基部は鈍形、先は鈍頭で小さく突出する。裏面は粉白を帯び、脈沿いに白く長い絹毛がある。側脈は17-24対で裏面に突出する。日本産の広葉樹のうちでは葉や花が最大級。各葉の托葉の落ちた痕が線状に枝を一周する。葉柄は長さ2-4cm。葉が大きくて特有の風味があり、殺菌作用ももつことから昔から食物を盛ることに使われた。飛騨の旅館で出される朴葉味噌は、この葉の上に椎茸などを混ぜ込んだ味噌を載せてあぶり、ご飯のおかずにするもの。
葉の展開後、枝先に黄白色で直径10-15cmの大きな花を上向きにつけ、強い芳香を放つ。雌雄同株で雄しべが先熟する。花被片は9-12個あり肉質。外側の3個は短く、赤みを帯びた淡緑色で萼状。内側の6-9個は長さ約6cmの狭倒卵形で花弁状。雄しべは長さ約2cmで多数あり、花糸は鮮紅色で長さ約7mm、葯は黄白色。開花後にすぐ雄しべは落ちる。雌しべは円錐状に多数つく。
果実は袋果が集まった長さ10-15cm、幅5-6cmの長楕円形の集合果で、9-11月に赤褐色に熟して裂開する。赤い仮種皮に被われた長さ0.8-1cmの種子が2個、白い糸状の種柄で垂れ下がる。

材は軟質で均一、狂いが少ないので、刀鞘、朴歯の下駄、まな板、製図板、版木、ピアノやオルガンの鍵盤、精密機械の木部などに利用される。軽く丈夫なので、マタギはひこばえを杖として利用する。木炭は金銀の研磨に使う。中国産のシナホオノキの樹皮を乾燥させたものを厚朴(こうぼく)といい、その代用(和厚朴といって区別)として他の生薬と調合して神経性胃炎、去痰、利尿などに用いる。
離れて見ると雰囲気がよく似ているトチノキは、複葉で小葉に鋸歯がある。
花期:5-6月
分布:北・本・四・九
撮影:2005.6.12 青森市
ホオノキ-2
葉は複葉に見えるが、枝先に単葉が輪生状に互生したもの。鋸歯はない。 2004.5.30 岩手県北上市

ホオノキの花
花は雌雄同株で直径10-15cm。雄しべ雌しべは多数。 2020.5.11 横浜市金沢区

ホオノキの樹皮
樹皮は灰白色でいぼ状の円い皮目がある。 2017.4.5 神奈川県鎌倉市

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